超音波検査室 >> 検査の進め方 >> 超音波特有のサインと用語 >> Pseudo-Kidney sign
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 Pseudo (シュード) は日本語で ニセ(偽)の、偽者、といった意味で、
 Kidney (キドニー) は日本語で、ご存知の通り、腎臓を表しています。


つまり、シュードキドニーサイン=Pseudo-kidney sign は腎臓のように観察される腎臓のニセモノをいいます。


正常例では超音波検査上、腎臓のように観察される臓器は存在しませんが、

ある疾患により臓器の変化が起こり、そこを超音波検査で観察すると、まるで腎臓のように観察される事があります。

その疾患は「結腸癌」です。

結腸癌ですから、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸とどこに発生した癌についても

Pseudo-kidney sign として観察されることがあります。

( 直腸はもともと構造上の理由から、超音波検査では観察しづらいのですが )



直腸癌が起こり、その病変が腸管壁に進展していくと、腸管壁の肥厚が起こり、また超音波上では

エコーレベルが低下して観察されます。

これが、腎臓の皮質の部分のように観察されます。

また、結腸に全周性に癌が進展した症例でも、内部には空気が存在しており、その部分が高エコーで描出されます。

そして、この部分が腎臓の中心部の高エコー帯のように観察され、結果、腎臓のように観察されるのです。





代表例



この画像は下行結腸癌の症例画像です。

画像右下に本物の腎臓が写っています。

腎皮質はエコーレベルが低く、腎髄質は高エコーで描出されているのがわかると思います。
( 腎臓は正常なので、このように描出されるのが当たり前です。今更解説するまでもないと思いますが )

そして、画像上に同じような形状で描出されている部分が上行結腸癌です。

腸管壁が肥厚することによって腎皮質と類似した形状、エコーレベルで描出され

腸管内部の空気によって高エコーの部分が認められています。また、その空気からの音響陰影が観察され

まるで腎門部のように観察されています。


     ← ここをクリックすると シュードキドニーサイン を示している場所を画像で表示します。
          (左画像だけ表示されます)
          もう一度クリックすると消えます。







代表例


 この画像は、上行結腸の結腸癌の症例画像です。

 結腸癌はその進展範囲はそれ程長くはなく、その腸管に対して長軸で観察すると、まるで腎臓の長軸のように

 その腸管に対して短軸で観察すると、まるで腎臓の短軸のように観察されるのも特徴です。



 上の画像も、左画像では腎の長軸のように観察され、右画像では腎の短軸のように観察されています。

 超音波検査にある程度慣れている方なら問題は無い(この画像も腎臓ではない、と判断するのは容易です)

 と思いますが、Pseudo-kidney sign は本当に腎臓?と思うくらい良く似た超音波画像を示す事があります。



 そんな時に、腎臓と Pseudo-kidney sign を鑑別する方法としては、


   1、位置を考える

       腎臓の位置に一致しているかどうかを考えます。
       腎無形成や異所性腎などの場合は、
       逆に位置が違うからといって腎臓ではない、とは言い切れなくなってしまいます。


   2、いろいろな角度から観察してみる

       Pseudo-kidney sign ではもちろん、腎盂、腎杯、尿管、といった構造物を持ちません。
       Pseudo-kidney sign が疑われる超音波所見が認められたら
       落ち着いてじっくり観察すれば、比較的簡単に鑑別ができるはずです。


   3、ドップラーをあててみる

       それが腎臓であれば、腎門部から流入出する脈管構造や血流信号が認められるはずです。
       それがPseudo-kidney sign であれば、腎臓に存在するはっきりとした血流信号は認められず
       結腸癌を栄養するわずかな血流信号が認められるだけだと思います。

       両者の血流信号の違いは顕著です。




  今回紹介している症例でも、ドップラーをあてて観察している画像がありますので、参考にしてください。