超音波検査室 >> 検査の進め方 >> 超音波特有のサインと用語 >> Basket pattern
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 Basket pattern = バスケットパターンは、
肝細胞癌で観察できる血流信号パターンに対して用いられる用語です。



 典型的な肝細胞癌の場合、その多くの血流を肝動脈から得ています。
通常、肝細胞癌は多血性腫瘤として存在し、肝動脈から得る血液量は肝実質に存在する正常組織よりも
多くの血液量を受け取っています。
(CTやMRIなどの造影Dynamic で肝動脈の時相に肝実質よりも肝細胞癌が造影効果が高いのはこの為です。)


 ですから、超音波検査で肝細胞癌を観察してドプラをあててみると
肝細胞癌は非常に血流に富んだ腫瘤として描出されてきますが、
その描出のされ方にも特徴があると言われています。


言い換えると
典型的な肝細胞癌の場合、肝細胞癌を栄養する肝動脈の走行には一定の特徴が見受けられる、
という事です。


その特徴が Basket pattern = バスケットパターン です。


 結節型肝細胞癌を栄養する肝動脈は、もちろん肝細胞癌の外から流入してくる訳ですが ⇒ 図 1

流入してきた肝動脈は、まず肝細胞癌の周囲を走行します(皮膜に沿って血管が走行しています)。⇒ 図 2

肝細胞癌の周囲を走行している肝動脈から、肝細胞癌内部へ分枝する脈管が走行します。⇒ 図 3


図 1 図 2 図 3



 肝細胞癌の周囲を走行する脈管が存在し、そこから肝細胞癌内部へと分枝していく脈管が観察される、
ということになります。
綺麗に描出できれば、入れ物(バスケット)のように観察されるので、この名前がついています。


バスケットパターンを認識できる画像診断は、現在の所 Angiography と 超音波検査 くらいです。



 しかし、肝細胞癌であれば必ず観察される、というものではありません。
10mmに満たない肝細胞癌や、典型的に描出されない肝細胞癌もたくさんあります。
そういった場合は、バスケットパターンが観察されない事の方が多く、
Bモードの画像中心に鑑別を進めるしかありませんが、
もし、ドプラをあてた時にバスケットパターンが観察されれば、その腫瘤の鑑別診断は終了です。








代表例




 肋間走査で観察されている S5の肝細胞癌です。


肝細胞癌に向かって太い脈管が走行しており、門脈と肝動脈が走行していると考えられます。
その太い血管から腫瘤周囲へ、更には腫瘤内部へ走行する脈管構造が観察されています。


ここまでバスケットパターンが明瞭に観察される肝細胞癌も珍しいと思います。





代表例




 肋弓下横走査にて、肝S8に腫瘤が観察されています。


この時、肝の深い位置にある腫瘤のためカラードプラでは明瞭に血流がのりませんでした。
そこで、パワードプラで観察してみると、比較的明瞭に血流信号を捕らえる事ができました。


腫瘤の周囲と、腫瘤内部に走行する脈管が認められています。
腫瘤内部に走行する脈管にパルスドップラをあてると、下向きの拍動性の血流が認められます。
腫瘤周囲に走行する脈管から分枝する肝動脈であることがわかり、バスケットパターンであると言えます。


すなわちこの腫瘤は肝細胞癌、 ということになります。