超音波検査室 >> 正常例の解剖と画像 >> 乳腺所属リンパ節正常例
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 上肢と乳腺のリンパの流れは、不規則に並んだリンパ節、リンパ路をつないだ形をしており、
通常、リンパ節の腫大や転移がなければ、リンパ節やリンパ路は超音波検査では観察できない。



胸筋リンパ節群、外側(腋窩)リンパ節群、中心(腋窩)リンパ節群、鎖骨下リンパ節群が
主に乳腺所属リンパ節を構成している。



ほとんどの乳房のリンパ流は、上記のリンパ節群を通り、鎖骨下リンパ節群の中に存在している
鎖骨下リンパ本幹に注ぐ。鎖骨下リンパ本幹は内頸静脈と鎖骨下静脈の合流部である静脈角に合流する。
乳房の内側部のリンパ節は胸骨傍リンパ節に注ぎ、内胸静脈に注ぐ。



基本的に乳癌が発生し、リンパ節転移が起こると発生した側のリンパ節に転移をするが、
ごく稀に、片側のリンパ路の閉塞が起きたとき、対側の乳房のリンパ路に流入したり
前腹壁に沿って鼠径リンパ節に流入する時もある。








    参考


       鎖骨上リンパ節                   supraclavicular nodes
       鎖骨下リンパ節                   subclavian nodes
       中心(腋窩)リンパ節                central nodes
       外側(腋窩)リンパ節                lateral nodes
       胸筋リンパ節                     pectoral nodes
       傍胸骨リンパ節                   parasternal lymph nodes






    参考


       静脈角                        angulus venosus
       腋窩動静脈                     axillary a. or v.
       胸背動静脈                     thoracodorsal a. or v.
       外側胸動静脈                    lateral thoracic a. or v.
       胸肩峰動静脈                    thoracoacromial a. or v.
       内胸動静脈                     internal thoracic a. or v.




 リンパ節は、リンパ管の途中に介在する類円形の器官で、表面は皮膜に覆われ内部の実質は細網構造を示す。
その細網構造の内部には免疫にあずかる無数のT細胞やB細胞が存在している。
リンパ節内でこのT細胞やB細胞は抗体産生や抗原情報の収集が行われている。



リンパは輸入リンパ管からリンパ節内のリンパ洞に入り、輸出リンパ管を通って出て行く。
その間に各種の抗原と接触するため、リンパ節は局所の炎症や転移が起こるとしばしば大きく腫れあがる。
輸出リンパ管周囲にはリンパ節に血流を送る動静脈が入り、ここをリンパ節門という。




リンパ節の腫大がある場合、超音波でリンパ節は観察可能である。



この時、炎症などに対して反応的に腫大したリンパ節は、楕円形もしくは扁平な形状でリンパ節門が観察できる。
ドップラーをいれるとリンパ節門から流入、流出する血流信号を得る事ができる。



乳癌などから転移を起こしている転移性リンパ節では、類円形もしくは不整な形状を示し、
反応性のリンパ節と比較すると、著明なエコーレベルの低下が認められる。
成長した転移性リンパ節をドップラーをいれて観察すると、リンパ節門以外からの血流の流入が確認できる事がある。










乳腺所属リンパ節の分類は、「乳癌研究会」で定義されている分類と、「TMN分類」によるものの
2種類がよく使われている。



  ・乳癌研究会による乳腺所属リンパ節の分類

    1  腋窩リンパ節
 
         a 外側群
         b 内側群
         c 胸筋間リンパ節 ( Rotter リンパ節 )

    2  鎖骨下リンパ節

    3  胸骨傍リンパ節

    4  鎖骨上リンパ節



  ・TMN分類による乳腺所属リンパ節の分類

    1  腋窩および胸筋間リンパ節

        レベル T
            小胸筋の外縁よりも外側に存在するリンパ節

        レベル U
            小胸筋の背側のリンパ節、及び胸筋間リンパ節

        レベル V
            小胸筋の内縁よりも内側に存在するリンパ節


    2  胸骨傍リンパ節



  超音波検査でリンパ節転移を同定する際、
 リンパ節転移がどこの転移か判断することが困難なこと、超音波検査では小胸筋の同定が用意なことなどから
 乳癌研究会の分類よりもTMN分類による分類を使用しやすい。



 傍胸骨リンパ節の同定



 傍胸骨リンパ節を観察する際の縦断像で上のような画像が得られる。
 もし傍胸骨リンパ節転移が存在すれば、胸膜と肋間筋の間に円形または楕円形の低エコーを示す腫瘤が
 描出されてくるのでこの周囲を重点的に観察する。
 また、傍胸骨リンパ節が確認された場合、その肋間が何番目の肋間であるかも確認する。



 傍胸骨リンパ節を観察する際の横断像で下のような画像が得られる。




 鎖骨下リンパ節、腋窩リンパ節、胸筋間リンパ節の同定




 左側の鎖骨下リンパ節、腋窩リンパ節、胸筋間リンパ節を横断像で観察すると上のような画像が得られる。
小胸筋を同定し、その外縁から外部側を「レベル T」、小胸筋のレベルで「レベル U」、
小胸筋内縁から内側部を「レベル V」として同定可能である。
「レベル T」のリンパ節を観察するときには、検側の上肢を挙上させることで容易に観察できる。



通常、リンパ節転移が存在する場合、大胸筋と小胸筋の間や小胸筋の胸膜側にしばしば多く認められるが
この中でも、小胸筋と大胸筋の間に存在するリンパ節を胸筋間(Rotter)リンパ節の転移という。



鎖骨下や腋窩に走行する血管の同定は比較的容易であるため、リンパ節転移などを認めた場合は
「レベル」と血管等で位置を確認しておく。