超音波検査室 >> 正常例の解剖と画像 >> 膵臓
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  膵臓は第12胸椎から第2腰椎のレベルに存在する長さ15cm前後、重量70〜80gの臓器である。
 膵臓は、右端の十二指腸下行部から左端の脾門部にかけて横走する臓器で、
 膵癌取り扱い規約(1982年)では 膵臓を頭部(head)、体部(body)、尾部(tail) の3つに分けている。
 膵頭部では足側に突起しており、これを鉤状突起(uncinate process)、もしくは膵鉤部と呼ぶ。



 頭部と体部は上腸管膜静脈左縁によって境界され、この境界部は膵切痕に相当する。
 膵臓の上腸間膜左縁から左側末端までを2等分し、右側を膵体部、脾臓側を膵尾部と呼ぶ。



 膵頭部は十二指腸に囲まれるように存在し、前腹壁に向かって連続し膵体部になり
 膵体部で上腸間膜動静脈を超えると、後腹壁に向かって連続し膵尾部になり
 膵尾部は脾門部まで連続し、体部と尾部の後面には脾動脈、脾静脈が走行する。
 全体としては、アーチ状を示し、体部が最も前方に位置する。



 超音波検査で膵臓を描出する時、「まず脾静脈を描出し、その上にあるのが膵臓である」とよく言われるが
 その脾静脈は膵体部後面で上腸間膜静脈と合流し門脈を形成する。



 主膵管は尾部に始まり頭部に向かい、膵頭部で膵内胆管と合流した後、大十二指腸乳頭へ開口する。
 また副膵管は膵頭部で主膵管から分枝し、大十二指腸乳頭より前上方の小十二指腸乳頭へ開口する。
 副膵管 (Santorini 管)は主膵管 (Wirsung 管)に比べて細い。





     




     参考

        下大静脈             ・・・・・  IVC inferior vena cava
        大動脈               ・・・・・  AO aorta
        門脈本幹             ・・・・・  PV portal vein
        上腸間膜動脈           ・・・・・  SMA superior mesenteric a.
        上腸間膜静脈           ・・・・・  SMV superior mesenteric v.
        下腸間膜静脈          ・・・・・  IMA inferior mesenteric v.
        脾静脈               ・・・・・  SV splenic v.
        腹腔動脈              ・・・・・  celiac trunk
        左胃動脈             ・・・・・  lift gastric a.
        脾動脈               ・・・・・  splenic a.
        固有肝動脈            ・・・・・  proper hepatic a.
        右胃動脈             ・・・・・  right gastric a.
        胃十二指腸動脈         ・・・・・  gastroduodenal a.
        膵臓                ・・・・・  pancreas
        脾臓                 ・・・・・  spleen
        十二指腸              ・・・・・  duodenam




  超音波検査での膵臓の描出法


  実際の膵臓の走査では、膵臓の頭側に胃が存在し、膵臓の足側には横行結腸が存在するので
  呼吸による上下移動を利用して腸管のガスの影響が最も少ない部分を探し出して撮影をする。



  条件が良く、うまく観察することができれば下のような画像を得る事ができる。



  基本的に膵臓の走査として、まず脾静脈を描出する事ができれば、その脾静脈の上にのっかるように
  実質臓器が観察でき、これが膵臓である。



  門脈から(患者様の)右側が膵頭部、門脈から(患者様の)左側が膵体部となる。



  きれいに描出できれば膵頭部の右側に胃十二指腸動脈を観察することができ、
  ここまで観察できれば膵頭部は全体的に描出されたことになる。



  肋弓下走査で膵頭部と同時に、膵体部と膵尾部も良好に観察されるケースは少ない。
  腸管ガスが障害となり、多くのケースでは膵尾部の一部が見えたとしても、膵臓の最後まで観察することは難しい。



  観察可能範囲で異常が無ければ、特に膵尾部の描出に時間をかけることはせずに
  描出しないで検査を終了する事もあるが、どうしても膵尾部が観察したい場合は脾臓側からの走査を試みる。



  膵尾部は脾門部に向かっているので、脾門部に膵尾部が観察されることがある。







  膵臓の大きさ


   一般的に膵臓の大きさを計測するときは、部分ごとの厚みで比較する場合が多い。


   通常、膵頭部下大静脈レベルで20〜30mm、上腸間膜静脈右縁レベルで15〜20mm程度である。
   膵体部、上腸間膜動脈レベルで13〜20mm程度である。
   膵尾部、15mm程度である。



   大きさについて上記した数値は、あくまでも目安と考える。
   膵臓の大きさは個体差があるため、膵臓の連続性を確認しながら全体のバランスが崩れていないかを確認する。

   (ちなみに私は膵頭部で30mm、膵体部で20mmを超えたら、腫大としています)




  膵管について


   膵管は膵体部が描出できれば、全他の70〜80%で膵管の観察が可能である。
   通常、膵管は径時的にその圧径が変化しているので、数分間時間を置いて再走査すると
   膵管径が変化しているときがある。



   正常の膵管径は3mm以下で、3mm以上は膵管拡張とする。



   もし、膵管拡張が認められた場合、膵管の壁を観察し拡張の種類を3種類に分類する。

     @ 平滑拡張型
          膵管の壁がスムースに平滑に観察される
          閉塞性疾患などで観察される。


     A 不整拡張型
          膵管の壁が不規則に拡張し、不整に観察される。
          炎症性疾患などで観察される。


     B 数珠状拡張型
          膵管の壁が分節状に観察され、数珠に似た画像が得られる。   
          膵癌などで観察される。




  膵臓のエコーレベル


   通常、膵臓は肝臓と同じエコーレベルか、やや高いエコーレベルで観察される。
   若年者では肝と同じエコーレベルで観察される事が多く、肥満などにより脂肪組織が増えると
   そのエコーレベルは高くなる。



   また、加齢によって線維成分が増加したり、膵臓の脂肪組織の増加が見られる事があり
   高齢者では膵臓のエコーレベルは若年者に比べて高い。




  膵臓の弾性度の確認


   膵臓は炎症疾患や悪性疾患などに伴い硬くなる。
   超音波検査では、リアルタイムでその弾性度を確認する事ができ、実際に観察したのが下の画像です。




  左画像が普通に観察した画像で、右画像が圧迫を加えた画像です。



  膵臓が圧迫によって厚みが変化しているのがわかります。脾静脈は圧迫によって完全に潰され
  観察されなくなってきます。



  ある程度弾性度が確認できれば正常と言えるが、全く大きさが変化しないときは
  異常がある事があるので注意する。