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   肝の右葉に孤立性に観察される場合が多い。


   基本的に他の原因菌による肝膿瘍との鑑別は困難である。




 病原性アメーバ ( Entamoeba histolytica ) が大腸炎の病巣から径門脈性に肝臓に達し形成される肝膿瘍である。



 アメーバ赤痢の約5%にみられる。
 感染経路の大部分は保因者の糞便に排泄される嚢子の経口感染で、輸入感染症の一つである。
 しかし、まったく海外渡航歴のない同性愛者にもみられるため、性行為感染症としても注目されている。
 大部分が男性例である。



 アメーバの嚢子が感染すると、結腸で栄養型 vegetative form となり、強力な蛋白分解酵素を放出して
 粘膜に潰瘍を形成、血管の障害を引き起こす。
 潰瘍部で門脈に進入したアメーバは肝臓の門脈末梢枝に塞栓を形成し、梗塞巣を形成し
 梗塞巣で再び酵素を放出し周囲間組織を融解壊死に陥らせる。
 


 膿瘍の形態は病期によって異なるが、進行した膿瘍では壊死した肝細胞と出血で特有な赤褐色を呈する。
 膿瘍は肝の右葉に好発し孤立性であることが多く、アメーバは膿瘍壁の壊死組織に検出されることが多い。
 超音波検査、またはCT検査下で膿瘍を穿刺すると、チョコレート色、アンチョビソース色と呼ばれる内容物
 が吸引され、アメーバ性肝膿瘍の特徴といえる。



 吸引された液体から栄養型アメーバ原虫が検出されれば診断は確定するが、検出率は約60%といわれ
 糞便中のアメーバ原虫は証明されないことも多い。



 アメーバ性肝膿瘍は肝の右葉に孤立性に存在することが多いという特徴は示すものの
 他の原因菌による肝膿瘍との超音波所見の違いはほとんど無く
 腹部超音波検査だけでの鑑別は困難である。




   渡航歴のある方に観察された肝膿瘍