超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
       肝臓
       胆嚢
       膵臓
       腎臓
       脾臓
       その他
   下腹部領域
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域





  


 63歳 男性


 数週間前から続く腹痛と下痢を主訴に来院された患者様です。



 普段からお酒を飲む機会が多いらしく、自覚症状は酒のせいだ、と思い病院には来なかったようですが
 腹痛、下痢に加えて、微熱、全身倦怠感も認められるようになり、来院されたようです。



 はじめに血液検査が行われましたが、このとき炎症反応高値と肝機能障害が認められ
 腹部超音波検査が行われることになりました。






 肝を観察するとすぐに目に付く病変がありました。
大きさは約60×48×72mmほどもあり、中心部には無エコー領域が観察されています。
病変の内部は不均一で、境界がはっきりしないので、あまり「腫瘤」という印象は受けませんでした。





 ドプラをあてて観察してみましたが、病変内部には血流信号は観察されませんでした。
 (中途半端なカラードプラ画像で申し訳ありませんが・・・)



 最初は肝の腫瘤も考えましたが、
病変内部が不均一であること、病変内部の比較的広い領域に無エコー領域を認めること、
病変内部に血流信号が認められないこと、
病変は比較的大きな単発的なものであること、

などから考えて、肝膿瘍が一番考えられると思いました。
(血液検査の炎症反応高値、肝機能障害、とも合います)



腹部超音波検査が行われた日に入院されたこの患者様は、翌日にCT検査を受けています。


 超音波検査時に観察された病変と一致する場所に造影効果の無い病変が写し出されています。
 内部は全く造影効果がありませんが、病変周囲には肝実質よりもやや高濃度で写し出される部分を認め
 炎症による変化と考えられます。



 腹部超音波検査、腹部CT検査ともに肝膿瘍が疑われました。
 そこで詳しく検査を進めると、便倍にてアメーバが検出されたそうです。


 後々わかったことですが、この方は海外旅行が好きで、
 しかも、東南アジアによく行っていたそうです。



 アメーバ性肝膿瘍は、現在の日本では頻度の少ない症例だと思い紹介しましたが
 今から超音波画像を見直してみても、やはりアメーバ以外による肝膿瘍との区別は困難だと思います。