超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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 76歳 男性


 直腸癌を指摘され、直腸切除術、人工肛門設置された患者様です。



 術後には一旦回復したようですが、退院後2〜3週間で
 持続する腹痛と、37〜38度台の発熱を主訴に外来を受診されました。
 血液検査で白血球上昇、炎症反応高値を認め、縫合不全を疑われ腹部超音波検査が施行されました。
 





  肝S6に縦長の不均一な領域が認められています。
 大きさは約82×35×58mm程度で、内部は不均一に描出され無エコー領域と点状高エコーも観察されます。
 ドプラを当てても血流信号は描出されていません。



 術後で縫合不全を疑っていた患者様ですので、肝膿瘍をすぐに疑う事ができ
 点状高エコーは、膿瘍内の菌によるガス産生に伴う変化を疑う事ができました。



 肝膿瘍が存在しているとすれば、直腸術後なので腹腔内で感染し、径門脈性の感染が考えられるので
 他に感染が無いか、下腹部も観察しています。






 すると右下腹部に目立つ腸管の壁肥厚を見つけました。
 腸管の内腔と思われる領域は無エコーで観察されていますが、それ以外のエコーレベルはそれ程低くなく
 悪性病変を疑う超音波所見ではありません。



 腸管の壁肥厚と、炎症の浸潤を示唆する周囲の脂肪組織のエコーレベルの上昇が認められ
 ここに術後の感染が起こっていると考えられました。



 この検査の後CT検査も行われ、やはり同様の所見が得られ、
 CTでも術後の縫合不全に伴う腹腔内膿瘍と、径門脈性化膿性肝膿瘍が疑われました。



 この患者様はこの検査後即時入院となり、抗生剤にて治療をされました。
 すると、炎症の消失は良好に認められ、1ヶ月ほどで膿瘍や炎症所見は完全に消失し退院となっています。