超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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   多くは不整形の充実性腫瘍として描出され、境界は不明瞭である場合が多い


   内部のエコーレベルは低〜高エコーと様々に描出され、腫瘤の被膜は観察されない場合が多い


   肝硬変の合併は少なく、腫瘤が存在する位置よりも肝側での管内胆管の拡張を認めることが多い


   胆管細胞癌は乏血性であることを反映して
               腫瘤に対するドプラ検査では血流信号はあまり観察されない




  胆管細胞癌(=肝内胆管癌、以後胆管細胞癌)は、胆管上皮由来の上皮性悪性腫瘍であるが
 その発生部位の定義は肝内胆管に限られ、肝臓原発の腫瘍と考えられる。
 そのため、基本的に胆管上皮由来の癌であっても胆管癌とは区別して考える。


 胆管細胞癌は「胆管の二次分枝、およびその肝側の肝内胆管に由来するもの」
 「肝内に発生した胆管上皮に似る、あるいはそれに由来する細胞からなる上皮性悪性腫瘍」と定義されている。
 腫瘍は灰白色調で非常に硬く、腺管構造を持つ線癌の型を取る。
 検査所見としてアルカリホスファターゼの上昇、CA19−9の上昇が見られ黄疸がみられないのが一般的だが
 腫瘍が大きくなり閉塞性黄疸をきたすものもある。
 肝硬変を併発しないのが一般的で、腫瘤自体は乏血性を示すことが多い。


 胆管細胞癌の原発性肝癌に占める割合は4.1%で
 その病因としては、Caroli病、肝内胆石症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝吸虫症、トロトラストがあげられるが
 詳しくは明らかになっていない。


 胆管細胞癌は肉眼的に腫瘤形成型、肝内発育型、胆管浸潤型に分類される。
 それぞれの割合は、腫瘤形成型が65.8%と最も多く、腫瘤形成+胆管浸潤型が18.8%、胆管浸潤型が9.5%、
 胆管内発育型が3.6%、という報告がある。


腫瘤形成型 腫瘤の境界はやや不明瞭で、辺縁不整な腫瘤として描出される。
内部エコーは組織型、線維化や壊死の程度によって様々であり、高エコー〜低エコーを示す。腫瘍から末梢側での肝内胆管の拡張像を認める頻度が高い。
胆管浸潤型 腫瘤から連続する門脈周囲への浸潤像が高度で、胆管閉塞にともなう末梢胆管の拡張を高率に認め閉塞性黄疸を認める場合も少なくない。胆管浸潤像は胆管の壁肥厚やglisson鞘の腫大として捉えられ、腫瘍の周囲で門脈に狭窄や閉塞を認める場合もある。
肝内胆管発育型 膵の管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMT)と類似の特徴と形態を持つことから胆管内乳頭状腫瘍
(Intraductal papillary neoplasma of bile duct : IPN-B)とも呼ばれる。
主胆管型と分枝胆管型に分類され、更に高乳頭型と平坦型に分類され
画像上、胆管壁の肥厚として描出される場合もある。



 ある報告では、胆管細胞癌の全切除例の95%は被膜形成を認めておらず、
 リンパ節転移陽性率40.5%、門脈浸襲陽性率51%、肝静脈浸襲陽性率30.6%、胆管浸襲陽性率54/9%と
 いずれも高率であり、また28.8%に肝内転移が認められるとされている。
 総合して胆管細胞癌のリンパ行性、血行性の転移率は80%を超えるとされている。


 胆管細胞癌は予後も不良である。
 全国集計では報告のある胆管細胞癌全例の5年生存率は19.6%、10年生存率は12.5%と低く
 胆管細胞癌発見時に転移を認めた症例では、特に予後が悪いとされており
 画像診断としては、胆管細胞癌を見つけた場合、転移の有無を知ることが重要となる。




   肝門部に腫瘤を認めた胆管細胞癌

   腫瘤性病変として観察されない胆管細胞癌

   肝左葉を中心として描出された胆管細胞癌