超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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 16歳 男性


  喧嘩に巻き込まれ、わき腹が痛いということで、夜中に救命外来を受診された患者様です。
外傷の程度を調べる為に行われたCT検査で、特に明らかな外傷は認められませんでしたが、
肝臓に腫瘤性病変が認められ、後日その腫瘤性病変の精査目的で腹部超音波検査が行われました。


まずは、その救命外来受診時に撮影されたCT画像をご覧下さい。





 肝S5に明らかな腫瘤性病変が認められています。


大きさは約10〜15mmの腫瘤として写っているので
「超音波で観察すれば、そのくらいの大きさがある腫瘤なら簡単に描出できるだろう」
と思いながら超音波検査を行いました。



 S5といっても、肝のほぼ下面に存在している腫瘤なので、
肝の横走査よりも縦走査の方が見つけやすいだろうと思っていました。

ところが、縦走査どころか、横走査、肋間走査、いろいろ試みてみましたが一向に腫瘤がみつかりません。

しかし、CTではあれほどハッキリ観察されているので、何も無いということはないだろうと
3.5MHzのコンベックスを7MHzの高周波のリニアに持ち替えて、もう一度肝臓をくまなく観察しました。


そして、やっと腫瘤を見つけることができました。





 7MHzのリニアプローブで観察しても、ハッキリ観察されない腫瘤として描出されています。


腫瘤の大きさは約11×14×15mmで、エコーレベルは肝とほぼ同等、
hump sign は認められませんでした。

この腫瘤で最も特徴的に観察された超音波所見は、Bモードでも観察できるような血管構造が認められた点です。
ドップラーで見ても分かるように、腫瘤の内部、腫瘤の周囲、には豊富な血流が認められています。


CTの画像や、16歳と非常に若い患者様である事からも
血管腫、脂肪腫、FNH、が疑わしいと考えていましたが、
この血流信号が有力な情報源となり、FNHが最も疑われると考えられました。


通常、FNHはある程度の大きさに成長してから、発見されることが多いようですが
今回は、CTで明瞭に描出されたことにより、10〜15mm程度の比較的小さいFNHが見つかったと考えられます。