超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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 64歳 男性


  もともと、C型肝炎から肝硬変に移行し、6ヶ月ごとに超音波検査を受けられている患者様です。
  6ヶ月前の超音波検査では、肝硬変による肝の変化と脾腫を指摘されているだけでした。


 まず、肋間走査で右葉を観察した画像です。


 なんか変じゃないですか?



 確かに腹水があって、肝辺縁の凹凸が観察されて
肝実質は不均一・・・・
肝硬変なのはわかりますが、それにしても
肝実質がおかしいような気がするが、
明らかな腫瘤は認められない・・・・

と感じました。



 いつもなら、肋間走査後に肋弓下横走査をするのですが
 あまり良く観察できなかったので、縦走査をしてみたところ
 左の画像が得られました。


 画像に写っている脈管は右肝静脈で、
 画像には写っていませんが、画面の右側(患者様の足側)に
 右腎臓が写ってくるようなレベルの画像です。


 やはり結節や腫瘤は移ってきませんが
 肝右葉がおかしい! と思いました。



 門脈右枝を観察して
 その「おかしい!」という感覚が
 確信に変わりました。



 見てお分かりのように
 腫瘍の門脈内進展です。


 門脈右枝に血流があるものの、
 本来の無エコーでは観察されず
 強度の門脈内進展が予想されます。
 

 観察可能範囲の門脈では、ほとんどに門脈内進展が認められ
門脈本幹を観察してみました。


すると、左のような画像が得られたのです。


2つの距離を計測していますが、
Aは内部が正常と思われる部分、
Bは内部に明らかな門脈内進展が観察される部分、です。


そして、その間に門脈の太さが急激に変化している所があり
ここまで腫瘍が進展していると考えられました。



肝左葉の方を観察してみると
門脈内進展は門脈臍部まで
進達しているのが観察されました。



これだけの画像でも
門脈臍部、門脈水平部、門脈本幹
門脈右枝、について
門脈内進展が存在している事が
容易に理解できると思います。






やはり、肝右葉に肝細胞癌があるのだな、と思い、もう一度肝右葉に戻って走査してみましたが
明らかな結節性病変の存在は指摘できませんでした。



しかし、門脈内進展の広さから考えても、それほど小さな腫瘍ではないことが容易に判断できます。



明らかな門脈内進展をしている割には、肝細胞癌の範囲はどこからどこまでなのか
全く見当がつきませんでした。
何回見直してみても、肝右葉がおかしいとしか判りません。



レポートには、肝右葉の不均一な領域に存在するびまん性肝細胞癌疑い(門脈進展 + )
としました。



前回の超音波検査は6ヶ月前で、肝硬変と脾腫と腹水を指摘されているくらいでした。
これほどの門脈内進展をしているのなら、前回も本当は存在していたのでは?
と思い、前回の超音波画像を見てみましたが、明らかな異常は認められていませんでした。



もともと、肝臓が挙上して観察しにくい、ということもありますし、
前回の超音波の検者が、異常が無いと思って検査を進めていれば、それが超音波画像に反映されて
異常病変が写ってこないのもあたりまえの話なので
前回に異常があったかどうかはわかりません。