超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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 71歳 男性


  もともと、B型肝炎から肝硬変に移行し、6ヶ月ごとに超音波検査を受けられている患者様です。
  6ヶ月前の超音波検査では、肝硬変による肝の変化、それに肝S8〜S4にかけて35mmほどの
  肝細胞癌と思われる腫瘤が指摘されていました。



  しかし、患者様の強い希望から、特に何の治療もしていなかったそうです。



  次に超音波検査を取りにやってきた時には、この患者様は入院をしていました。
  35mmほどの肝細胞癌の観察から、実に9ヶ月後の超音波検査画像です。



右肋弓下走査で得られた画像です。


パッとプローブを当てて、大きさを測っただけで
48×40mm・・・
明らかに大きく成長しています。


この少し下のレベルで、中肝静脈を観察しましたが
中間静脈に関しては、
腫瘤によって圧排されているものの
静脈内進展は観察されませんでしたし
静脈の血流にも明らかな異常は認められませんでした。






そして、中間静脈よりも更に下のレベルにプローブを動かすと
この画像が得られました。


右肝静脈が明瞭に描出されています。


その内側、肝のS5〜S4あたりに、非常に不明瞭な領域が
広がっています。

おそらく肝細胞癌を観察している、という事はわかりますが
一体、どこからどこまでが肝細胞癌なのかわかりません。









更にプローブを下にずらして門脈臍部が観察されています。


真ん中に門脈臍部が観察されていると思いますが
その周囲に異常を発見しました。


わかりますか?


気が付かない場合はここをクリックしてください。   ⇒  


もう一度クリックすると消えます。



門脈臍部に連続するように、門脈左内側区域枝(以後P4とします)が拡張して、内部にエコーレベルの高い部分が
観察されています。

この画像にドップラーを当てると次のように観察されました。



P4の高エコーで描出されている部分には血流信号は認められず
その脇に微量の血流が観察されています。


もうお気付きかと思いますが
これは、腫瘍の門脈への進展、すなわち門脈内進展です。


門脈は完全閉塞はしていないようで、わずかですが
門脈内進展をよけるように血流が存在しています。


場所から言っても、原因は先ほどから観察されている
大きく成長した肝細胞癌だと考えられます。




 肝細胞癌と考えられる腫瘤は非常に大きくて、一回の走査だけではその全景は観察することができませんが
何回かに分けて腫瘤の周囲を観察することによって、腫瘤の全体像を把握する事ができました。



上の数枚の画像から考えられたのは
S4、S5、S8、の広い領域に存在する大きな肝細胞癌があって
S8のレベルでは腫瘤が境界を持った腫瘤として観察されてきます。



しかし、S4、S5 のレベルでは、肝細胞癌の境界は不明瞭で、その境界線は同定することができず
びまん性に浸潤している腫瘤が予想され、それを裏付けるように、P4に対する門脈内進展が観察されています。



S8の周囲では境界を持った肝細胞癌として観察され、S4、S5の周囲では境界不明瞭な肝細胞癌として観察される、
すなわち、塊状型の肝細胞癌と判断する事ができました。