超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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 73歳 男性


  「今まで病院になんか、世話になった事が無いのが俺の自慢でぃ」
  患者様は検査室に入るなり、話し始めました。



  「ちょこっと、腹がポコっと膨らんできたのに気が付いて、かぁちゃんが病院行けってうるせ〜からよ〜
                              どうせ、大した事ねぇ〜んだから、さっさと済ませてくれやぁ」


  と、まぁ話好きな患者様です。




  そのポコっとした所の画像です。



  左画像で判りますが、非常に大きな (約82×64×72mm) 腫瘤が認められます。
  内部はモザイクエパターンを示し、腫瘤周囲には低エコー帯が観察されます。



  右画像では腫瘤周囲の肝静脈の状態を観察しています。
  「1⇒」は中肝静脈、「2⇒」は左肝静脈です。
  肝静脈への脈管内進展を疑っていましたが、この画像では左肝静脈が腫瘤に圧排されるように存在しながらも
  血流は正常に認められ、Bモードで観察しても脈管内に浸潤らしき画像は認められませんでした。






  左画像は門脈臍部から P3 への門脈枝を観察しています。
  門脈壁は保たれ、浸潤しているようには観察されませんでした。



  右画像は門脈枝の P2 と P3 のドップラー画像です。
  左肝静脈と同様に、腫瘤によって圧排されていますが脈管内進展は認められませんでした。
  ( P3 では赤と青が複雑に混じるジェット流が観察されていますが、圧排による血流の乱流を
                                           観察している、と考えられます。)







 これはどちらも「胃」の画像です。



 左画像のように、胃壁が全体的に肥厚していて、一部で肝腫瘤と接しています。
 最初は胃への浸潤も疑いましたが、強い圧迫を加えると腫瘤と胃はずれるように動くトコロが観察でき
 浸潤は否定的でした。



 右画像はプローブを7.5MHz のリニアプローブにも誓えて撮影した画像です。
 「1⇒」は筋層、「2⇒」は粘膜下層、「3⇒」は粘膜層、が一様に観察されました。



 もし、肝腫瘤からの浸潤があるのであれば、胃壁の肥厚は肝腫瘤周囲に強く現れるでしょうし、
 粘膜層、粘膜下層の肥厚も均一に認められることから、
 肝腫瘤とは全然関係ない、胃の炎症性疾患、つまり「胃炎」ではないかな・・・と考えました。






 最初は、肝腫瘤は「肝細胞癌」で、大きさから言ってもどこかに浸潤しているだろう、と予想していましたが、
 以外にも、腫瘤周囲に存在する脈管は圧排されていて、結節型肝細胞癌の典型像を示しました。



 塊状型に移行している部分は認められず、大きく成長した結節型肝細胞癌である、と考えました。