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  44歳 男性



  画像を見て分かるとおり、肝実質のエコーレベルが上昇して、肝腎コントラストも認められ
  脂肪肝がベースに認められる症例です。



  肝のS7に低エコーの腫瘤像が観察されます。
  腫瘤の境界は平滑ではなく、ややギザギザした印象を受けました。
  腫瘤の周囲には皮膜は観察されず、腫瘤の内部エコーは比較的均一です。



  肝細胞癌も一応考えてみましたが、ベースに肝炎が無い事や
  (肝炎がベースにない場合は、肝細胞癌の発生率は非常に少ないそうです)
  腫瘤周囲に皮膜が観察されないこと、などから肝細胞癌は否定的でした。



  肝血管腫が疑われましたが、転移性肝腫瘍は否定できませんでした。



  他に特記するべき疾患も無く、私はレポートに「脂肪肝」と「肝血管腫疑い」と書きました。



  さて、次の検査をしようかなと思いながら、依頼表を片付けようとした時に気が付きました。
  依頼表には「血管腫について、前回と比較してください」と書いてあったのです。



  悩まなくても、血管腫でよかったのです。
  しかも、依頼表をちゃんと読んでなかったので、ちゃんと比較できる情報を検査で得られているか
  非常にドキドキしてしまいました。



  そして、前回の写真が下の画像です。




  腫瘤の大きさは前回とほぼ変わりありませんでした。



  しかし、一目瞭然の違いがあります。
  もう、あなたも気が付いていると思いますが、前回の検査時には脂肪肝は無く、
  血管腫は高エコーの腫瘤として描出されています。



  いわゆる、肝血管腫の典型像として描出されています。
  場所も肝のS7で、同じ腫瘤であるとわかります。



  通常の血管腫では、体位を変えなくても腫瘤内の血流量の変化と共に、腫瘤のエコーレベルが
  径時的に変化するのは知られています。



  なので一概には言えませんが、脂肪肝によって肝実質のエコーレベルが上昇したために
  相対的に肝血管腫のエコーレベルが低く観察されていたのではないか、と考えられました。



  低エコーで描出される肝血管腫は少なくありませんが、そのときの血流量の状態以外にも
  周囲の相対するエコーレベルによっても、低エコーで観察されるのだな〜、という事と
  依頼表はちゃんと読みましょう、という事を勉強できた症例でした。