超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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 71歳 男性


  とある朝、鮮血の下血が認められ、当院の外来を受診された患者様です。

  当日緊急で超音波検査とCT検査が行われました。





  肝臓のどこを走査しても、腫瘤が認められます。



  しかも、全ての腫瘤はほぼ同様の所見を示します。
  腫瘤周囲には明瞭な低エコー帯が観察され、その内部に肝と同様かやや低いエコーレベルの
  実質部分が認められます。
  転移性肝腫瘍の特徴的な ブルズアイサインだと考えました。



  この時点で、比較的大きさの同じような腫瘤が散在して認められること、
  腫瘤はブルズアイサインを示していること、
  から、この腫瘍は全て転移性肝腫瘍であると考えられました。



  次に考えなくてはならないのは、肝臓以外の腹部臓器、リンパ経路への転移なので
  周辺臓器やリンパ節をよく観察しましたが、転移性肝腫瘍以外にはっきりとした転移は認められませんでした。



  私は、この患者様は下血で来院していることから、腸管の原発腫瘍を予想しました。
  しかも、下血は鮮血であったので、比較的肛門に近い位置の腸管ではないかと。



  そして下腹部を走査していて得られた画像です。




  正中よりやや左の下腹部に、不均一な低エコーに変化し、腸管壁が著明に肥厚している部分を見つけ、
  この部分が原発の腫瘍であると思われました。



  場所から考えると、S状結腸から下行結腸の下部だと思います。
  この周囲のリンパ節も探してみましたが、超音波上ではリンパ節への転移ははっきりしませんでした。



  レポートには「S状結腸、もしくは下行結腸の悪性腫瘍による転移性肝癌疑い」と記載しました。



  後に行われたCT検査の画像です。




  造影CT検査で、肝には複数の腫瘍が認められ、造影効果で考えても転移性肝癌が疑われます。



  また下腹部には、他の腸管よりも明らかに造影効果の高い腸管壁が肥厚した部分が認められ
  S状結腸癌が疑われます。



  数日後に行われた、大腸内視鏡と注腸検査の画像です。




  下行結腸の結腸癌で確定診断がついた症例です。