超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
       肝臓
       胆嚢
       膵臓
       腎臓
       脾臓
       その他
   下腹部領域
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域






  


 79歳 男性


  「転移性肝癌  follow up」 依頼表にはこう書いてありました。



  なんで、転移性肝癌を follow しているのだろう? 治療は? と思いつつ、患者様を検査室に呼びました。
  患者様に話を聞いているうちに、次の事がわかりました。

  ・ 6年前に交通事故で下腿骨骨折のため、手術している事
  ・ 3年前に S状結腸で手術している事
  ・ 2年前に腸閉塞で手術している事
  ・ 1年半前に転移性肝癌を指摘された事



  6年間で3回の手術を受けた後、1年半前に肝臓に転移が見つかり、また手術を勧められたそうです。



  患者様は「もう手術はうんざり!」ということで手術を拒否。
  内科的治療で転移性肝癌を follow している患者様です。



  半年前に撮影された転移性肝癌の画像です。




  ちょっと見にくい画像で申し訳ありません。



  肝S5に 34×27mm程の転移性肝癌が認められます。
  腫瘤周囲は低エコーで描出され、腫瘤内部は肝と同等のエコーレベルで描出されています。



  前回のエコーの写真を見ると、ちょっと撮りづらそうな肝臓ですが、
  腫瘤の存在する場所は、超音波で描出するにはそんなに難しくなさそうです。



  そして今回得られた画像が次の画像です。





  前回より半年後という事になりますが、腫瘤の大きさは 65×55×52mm程に立派に成長しています。



  境界は明瞭ですが、前回とは内部エコーが随分違っています。
  非常に不均一な内部エコーを示し、一部で無エコーのように観察される部分も存在します。
  壊死巣によるものと考えられ、腫瘤内部には石灰化も認められます。




  左のドップラー画像は中肝静脈の画像です。
  中肝静脈は腫瘤に圧排されるように走行し、Bモード上では浸潤は認められませんでした。
  ドップラーをあててみると、腫瘤から排出される静脈血は直接肝静脈へ流入していました。



  右のパワードップラー画像は門脈臍部から出ている
  門脈左外側下区域枝(P3) と 門脈左内側区域枝(P4) が描出されている画像です。



  方形葉に向かう門脈枝(P4)は腫瘤の内部を走行していますが、血管壁が観察され
  血管内進展は否定的でした。




  この症例は、最初から転移性肝癌であることがわかっていました。



  後からこの画像を確認してみると、



  腫瘤内部は不均一に描出され、内部には壊死と思われる無エコー域が認められた

  腫瘤内部には石灰化も認められた

  腫瘤は前回の検査から膨張性に発育し、脈管を圧排するように成長している

  門脈内進展は認められなかった



  以上の理由から、超音波画像では転移性肝癌の特徴が描出されていると考えました。