超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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   肝の大きさが変化する。肝右葉は萎縮し、肝左葉は腫大する。
            特に肝硬変で特徴的な変化が、尾状葉(S1)の腫大である。


   肝表面に凹凸が観察されるようになる。 特に肝下面や肝静脈との境界線、胆嚢との境界線
                                   などに著明な凹凸を観察することができる。


   肝実質エコーの粗雑化、不整化がおこる。



   脾腫を伴う例が多い。



   進行例では腹水を伴う例が多い。



   胆嚢壁が肥厚する場合が多い。



   病状が進行し、高度の肝硬変になると門脈圧亢進症を併発する。
         また、門脈圧亢進症に伴い、側副血行路が認められる場合もある。



   B型肝炎から移行した肝硬変では Mesh pattern という特徴的な超音波所見を示す事がある。



   アルコール性肝硬変では Flag signという特徴的な超音波所見を示す事がある。


  肝硬変は全ての肝障害から起こる可能性のある、慢性肝障害の終末像といえる。



  原因としては、その多くがウイルス性肝炎からの移行が最も多い。
  ウイルス肝炎の中でも、C型肝炎が最も多く、ついでB型肝炎が多い。
  ウイルス性肝炎以外からの肝硬変への移行は、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変
  ウィルソン病、などがあげられる。


  慢性的な肝障害から、多くの肝細胞が死滅し、また再生する。
  これを徐々に繰り返しながら肝臓本体の小葉構造が破壊され、肝臓では高度の線維化が起こり
  それに伴い胆汁分泌機能が低下する。



  この過程の中で徐々に肝硬変へと変貌していくが、肝の機能障害が長期間にわたる為に
  その代償性の変化として、脾腫、門脈圧更新症、などを発症する。






肝臓の形態の変化について


  肝硬変の初期では肝臓は腫大するが、次第に萎縮する。
  


  肝硬変の典型的な形態としては、右葉の萎縮と左葉(特に尾状葉)の腫大であるが、
  肝硬変への原因の違いなどにより、その形態には大きな差がある。



  つまり典型的に右葉が萎縮して、左葉が腫大する例もあれば、ほとんど形態に異常が見られない場合もある。



肝実質の変化について


  肝実質では、グリッソン索が多くなり超音波ビームの減衰が強くなることから
  肝実質のエコーレベルは低くなる傾向にある。
  この変化は、非常に微妙な変化として現れるので、超音波上で確認できない事も多い。
  (典型例では著明に観察される)



  肝硬変では、広範囲な肝細胞壊死により肝細胞の再生が頻繁に行われる。
  その結果、正常の肝小葉構造は徐々に破壊され繊維化を伴い、再生結節と呼ばれる実質が形成される。


  (再生結節などの再生の際に、遺伝子異常を伴った部分が形成される可能性が高くなると考えられている。
     この遺伝子異常を伴った部分が肝細胞癌であり、実際に肝硬変の肝細胞癌の併発率は高い。)



  進行例の肝硬変では、この肝細胞壊死から再生への過程が幾度も繰り返され
  その結果超音波では、肝実質は非常に不均一な実質として描出される。



  また、その変化は肝表面でも起こる為、肝外側の境界線は不正な凹凸を見せる形状に変化してくる。





肝硬変に伴う合併症


  肝硬変が徐々に進行してくると、いろいろな合併症が観察されるようになってくる。



  代表的な変化としては、脾腫が挙げられる。
  もともと、肝臓の機能の手助けをしている脾臓は、慢性的な肝機能の異常により代償性に機能するようになり
  その結果、脾臓が腫大してくる。



  肝硬変が進行した例になると、肝臓への血流の圧力が高まり処理できる血流量が減少する。
  門脈からの血流量と肝臓で処理できる血流量に差が出てきて、それが大きくなると、
  血流は他のルートから心臓へ血液を返そうとする。



  その結果、門脈血流が肝臓周囲の血管へ流入し、その血管は血流量の増加に伴い怒張し蛇行する。
  これが静脈瘤である。



  門脈圧更新症が合併した肝硬変では、胆嚢壁の肥厚が認められることがある。
  これは、肝硬変による血流うっ滞による変化と考えられており、炎症性の胆嚢の肥厚や癌性腹膜炎の
  胆嚢壁の肥厚と異なり、胆嚢の層構造が観察されたまま肥厚する(double wall)。



  肝硬変では腹水を伴う例が多く、腹水と胆嚢壁の肥厚が認められる場合、
  癌性腹膜炎と肝硬変との鑑別が難しいが、胆嚢壁の肥厚が single wall なのか double wall なのか
  によってこの2つを鑑別する事ができる。



  C型肝炎からの肝硬変

    C型慢性肝炎からの肝硬変例




  アルコール性肝硬変

    脂肪肝を併発したアルコール性肝硬変