超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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   原発性胆汁性肝硬変(PBC)の超音波所見は下記のとおり、その他の原因で起こる肝硬変と
    同様の所見で観察され、超音波所見だけで原発性胆汁性肝硬変を鑑別することは困難である。



   肝の大きさが変化する。肝右葉は萎縮し、肝左葉は腫大する。
            特に肝硬変で特徴的な変化が、尾状葉(S1)の腫大である。


   肝表面に凹凸が観察されるようになる。 特に肝下面や肝静脈との境界線、胆嚢との境界線
                                   などに著明な凹凸を観察することができる。


   肝実質エコーの粗雑化、不整化がおこる。



   脾腫を伴う例が多い。



   進行例では腹水を伴う例が多い。



   胆嚢壁が肥厚する場合が多い。



   病状が進行し、高度の肝硬変になると門脈圧亢進症を併発する。
         また、門脈圧亢進症に伴い、側副血行路が認められる場合もある。



   進行した原発性胆汁性肝硬変では肝内胆管や肝外胆管の壁の肥厚が観察されることがあり
    黄疸を伴っていても肝内胆管や肝外胆管の明らかな拡張は観察されない場合が多い。





  原発性胆汁性肝硬変の発生機序には自己免疫が関与しているものと予想されており
 中年の女性に高頻度にみられる事から、妊娠の合併症の一つとする仮説が立てられている。
 それによると、男性胎児のリンパ球が母体に移行して、胆管上皮の障害を起こすと考えられているが
 十分に実証されていない。


 原発性胆汁性肝硬変は中年以降の女性に好発し、皮膚掻痒感がもっとも高頻度にみられる初発症状である。
 病初期には肝不全症状はみられないが、病変の進行とともに黄疸の出現がみられ
 徐々に肝不全状態を呈するようになる。
 門脈圧亢進症状が高頻度に出現するのも特徴的である。


 なお、皮膚掻痒感、黄疸など肝障害に基づく自覚症状を欠く場合があり、無症候性(asymptomatic) PBC と呼び
 無症候性のまま数年以上経過する場合がある。


 検査所見では胆道系酵素 (ALP、 r-GTP)の上昇は認められるが、AST、ALTの上昇は認めないか、軽度であり
 自己抗体として高ミトコンドリア抗体(AMA)が90%以上で陽性となるのが特徴的である。


 肝組織所見も特徴的で、慢性非化膿性破壊性胆管炎( choronic non-suppurative destructive cholangitis CNSDC )
 として表現される胆管の破壊性の病変が認められる。
 このため、原発性胆汁性肝硬変を疑った場合は、しばしば肝生検が行われる。



 原発性胆汁性肝硬変では診断基準が決められている。

  【概念】
    
   1、検査所見
        黄疸の有無に関わらず、赤沈の促進、血清中の胆道系酵素(ALPなど)、総コレステロール、IgM
       の上昇を認める
       抗糸粒体抗体(AMA)または抗 pyruvatedehydrogenase(PDH) 抗体が高頻度に陽性で、
       高力価を示す


   2、組織学的所見
        肝組織では中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管に慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)あるいは
       胆管消失を認める。連続切片による検索で診断率は向上する


   3、合併症
        高脂血症が持続する場合に皮膚黄色腫を伴う
       Sjogren(シェーグレン)症候群、慢性間接リウマチ、慢性甲状腺炎などの自己免疫性疾患を
       合併する事がある


   4、鑑別
        慢性薬剤起因性肝内胆汁うっ滞、肝内型原発性硬化性胆管炎(PSC)、成人性肝内胆管減少症など



  【診断】
     次のいずれか一つに該当するものを、PBCと診断する。


      1、組織学的に慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)を認め、検査所見がPBCとして矛盾しないもの
        AMA または抗PDH抗体が陰性例もまれに存在する


      2、AMA または抗PDH抗体が陽性で、組織学的にCNSDCの所見を認めないが
        PBCに矛盾しない組織像を示すもの


      3、組織学的検索の機会はないが、AMA または抗PDH抗体が陽性でしかも臨床像および経過から
        PBCと考えられるもの



  初期の原発性胆汁性肝硬変(PBC)では、肝の変化も肉眼的にはほとんど確認できないため
  超音波上、異常所見を指摘できない場合がほとんどで
  ある程度進行した例では、慢性肝炎や肝硬変と類似した所見を示す。


  原発性胆汁性肝硬変(PBC)の超音波所見は、他の原因により引き起こされる肝硬変と所見が類似し
  超音波所見だけで原発性胆汁性肝硬変の鑑別は困難である。


  原発性胆汁性肝硬変では、しばしば黄疸が観察され、その時の超音波所見として
  明らかな肝内胆管、肝外胆管の拡張が認められないことが多い。
  閉塞性黄疸などの場合には明らかな胆管系の拡張が認められるので、鑑別に役立つ。


  また、進行した原発性胆汁性肝硬変では肝内胆管や肝外胆管の壁の肥厚が観察されることがある。





    明らかな所見を認めないPBC

    肝実質に著明な変化を認める PBC

    肝実質に著明な変化を認める PBC