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   62歳 女性

  10年以上前からC型慢性肝炎になり、肝硬変を併発している患者様です。
  肝内腫瘤性病変の検索と、肝硬変の進行度の評価の為、6ヶ月ごとにfollow up している方です。





肝左葉、尾状葉の腫大、肝実質の粗雑化、肝辺縁の鈍化、凹凸、脾腫、胆嚢壁の肥厚、肝門部リンパ節の腫大、
など、著明な肝硬変の超音波画像を示しました。



肝実質を詳しく検査しましたが、明らかな腫瘤性病変は認められませんでした。



そこで、ドップラーで門脈血流の評価をしたところ、次のような画像が得られました。
(カラードップラーの設定は、一般的な方法を使用しています。
  プローブに向かってくる血流が赤い信号、プローブから離れる血流が青い信号で描出されます)




左の画像では、門脈血流の波形を観察していますが
通常、定常波で観察されるはずの門脈血流が、一定の拍動性をもつ波形で観察されています。
門脈圧亢進症では、このような変化がよく観察されるので、
側副血行路が無いかどうか詳しく観察していると、右の画像が得られました。


ちょっと判りづらいですかね?
右画像の赤く観察されているところは門脈臍部です。
その門脈臍部から、正常例では存在しない肝外に向かう赤いドップラー信号が認められ、
肝外を足方向に進む、青い血流で観察される脈管も観察されてきています。


この画像から、門脈臍部から短絡を起こし臍傍静脈へ流れ込む側副血行路が存在する事がわかりました。



また、更に下の画像を見てください。



最初に肝硬変の説明に使用した脾臓の画像で、あなたは気が付きましたか?



脾門部に複数の無エコーで描出される領域が認められています。
その無エコー部分は、脾門部中心よりも頭側に観察されています。
短胃静脈短絡が起こると、そのほとんどが脾門部中心よりも頭側でよく観察されてくる事が知られています。



また、そこの部分をドップラーで観察すると、方向性の定まらない静脈瘤特有のドップラー信号を
得る事ができました。



そこで脾静脈を確認してみると、


正常の脾静脈は、脾臓から門脈に向かって流れています。


という事は、カラードップラーで観察しているところ
はプローブに向かってくる血流が観察されるはずなのに
逆に青で表示される画像、


すなわち、プローブから離れていく血流が観察されています。


このことから、門脈血流は脾静脈で逆流して
短胃静脈短絡から食道静脈を通って上大静脈に流入している
と、考える事ができました。





腫瘤性病変は認められませんでしたが、門脈圧亢進症を伴った肝硬変症例です。