超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 肝臓
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   58歳 女性

  以前よりB型のウイルス性肝炎で follow up されている患者様です。
すでに、前回までに行われた検査で肝硬変の診断がついていたので、
肝内の腫瘤性病変の検索が一番の目的で、今回の超音波検査を行いました。


肝実質には明らかな腫瘤性病変が認められませんでしたが、
脾臓を観察している時に副側血行路を思われる無エコーの構造物が認められたので
側副血行路の検索を行いました。



これが、脾臓を観察した時の画像です。
脾門部より足側に無エコーで観察される構造物が認められています。


通常、脾門部よりも頭側で側副血行路が観察された場合は、短胃静脈による側副血行路の場合が多く
脾門部よりも足側で側副血行路が観察された場合は、脾後腹膜短絡、脾腎短絡の場合が多いといわれています。


この症例では、脾門部よりも足側で観察される側副血行路の為
脾後腹膜短絡か脾腎短絡の可能性が高いと考えられます。




脾静脈の画像です。
明らかな拡張は認められませんが、パルスドップラーで下向きの血流が認められていることがわかります。
つまり脾臓に向かっている血流が観察されており、正常とは逆方向の血流であることが判ります。




左の画像は脾門部をカラードップラーで観察した画像です。
脾門部周囲から脾下面に向かって多くの蛇行した脈管が認められています。


右の画像は左の腎臓を中心に観察したカラードップラー画像です。
脾門部から観察される側副血行路は腎門部に向かうことなく、脾臓と腎臓の間を通るようにして
腹部前璧に向かって走行していることがわかります。


もちろん、この画像で脾腎短絡を完全に否定する事はできませんが、
腎門部周囲に流入してくる側副血行路は観察されず、腹膜に向かって血流が観察されているので
脾腎短絡よりも脾後腹膜短絡が疑われる超音波画像である、と考えられました。