超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 胆嚢
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  53歳 男性


 数日前から腹痛があったが、仕事が忙しく病院にはいかず放置していたが
 腹痛がおさまらず、食事も摂れないくらい腹痛がひどくなってきたので受信された患者様です。


 今まで、当院に来た事は無く、既往歴などは判りませんでしたが、
 血液検査で、軽度の肝機能異常、白血球数やCRPなどの炎症反応の上昇、ビリルビンの上昇が認められ
 胆嚢炎が疑われ、腹部超音波検査を施行する事になりました。




 胆嚢は軽度腫大していますが、緊満という感じではありませんでした。
 胆嚢内腔には、胆泥と debris 、胆石が認められ、胆嚢壁は軽度の肥厚(約2.5mm)が認められました。


 画像は載せていませんが、肝外胆管の拡張は認められず、胆嚢頚部にも結石が認められたことなどからも
 血液データの結果と一致する為、結石のカン頓に伴う急性胆嚢炎を疑うのは難しくありませんでした。


 しかし、この患者様は肋間走査でしか胆嚢の観察をすることができず、明瞭な描出ができなかったので
 私は「もう少し明瞭に描出されている画像が欲しいな」と思い、しつこく撮影をしていると
 下の画像が得られたのですが、ここであることに気が付きました。




  胆嚢壁の肥厚は不整で、胆嚢の周囲に淡くエコーレベルが低くなっているような気がしました。
 また、胆嚢と肝臓の間に、非常に少量ですが無エコーで観察される浸潤液と思われる部分も認められました。


 そこで、画像を拡大して胆嚢と肝臓の間を撮影したのが右の画像です。
 浸潤液と思われる少量の無エコーで描出される領域と、その周囲に存在する不明瞭な領域が認められています。

 ここのことを言っています     ⇒  


 腹痛を感じてから数日経過しているという事も考慮して、
 胆嚢壁の一部に穿孔を伴っているのではないかと考えました。
 そうすると、胆嚢周囲の淡い領域も浸潤液に伴う炎症と考えれば話が通ります。


 そして、肝臓を観察していてやはり穿孔しているんだな、と思わせる画像が得られました。



 画像左は肝右葉、画像右は肝左葉を観察している画像です。

 両方の画像でも、門脈に並走する肝内胆管に空気が認められています。
 すなわち「胆道気腫」になっています。


 特に今まで手術歴などが無く、胆嚢の穿孔に伴い空気が肝内胆管まで観察されるように
 なってしまったのでしょう。
 ( ただ、胆嚢周囲の炎症がそれほど激しくないわりに、胆道気腫の空気の量が多いのが気になりましたが )



 レポートには、急性胆嚢炎で
 明らかな膿瘍は観察されませんが、胆嚢壁の穿孔と浸潤液に伴う胆嚢周囲の炎症が疑われると書きました。


 この症例は、その後CTを撮影してそのまま緊急手術となりました。



 術後所見で確認しましたが、やはり穿孔を伴った急性胆嚢炎で、一部少量の膿瘍が存在していたようです。