超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 胆嚢
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
       肝臓
       胆嚢
       膵臓
       腎臓
       脾臓
       その他
   下腹部領域
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域












   胆嚢癌は形態的に限局型(腫瘤形成型)、浸潤型(壁肥厚型)、混合型、の3つに分類される


   癌病変部自体は、エコーレベルが低く、内部は不均一で、表面は不整に観察されることが多い


   腫瘤の最大径が10mmを超えたら悪性の可能性があり、20mmを超えたら癌を疑う


   胆嚢壁に瀰漫性に浸潤している場合は、胆嚢壁の肥厚、エコーレベルの低下を認める


   腫瘍と胆嚢壁と接する面積が広い場合は「広茎性」と呼び、癌である場合が多い


   胆嚢と肝臓の境界が不均一に観察されたり、胆嚢近傍の腸管の限局的な壁肥厚がある場合は
         胆嚢癌の直接浸潤の可能性があり、リンパ節に転移を認めると著明な腫大を示す




  胆嚢癌の定義は、胆嚢、または胆嚢管に原発する癌である。
 胆嚢壁は粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜層からなり、粘膜下層、筋層にとどまる癌、
 およびRAS(Rokitansky-Aschoff sinus)内の上皮内癌は、切除後の予後が良好なことから早期癌と定義され、
 漿膜層を破っている癌は進行癌と定義される。
 胆嚢癌は組織学的に腺癌が最も多く、次いで扁平上皮癌、未分化癌が多い。


 胆嚢癌は高率に胆石を合併する。
 欧米では約80~90%、本邦では約50~70%と高く、胆石の機械的刺激、胆汁の変化による胆嚢の炎症性変化
 などの説があるが、明らかになっていない。
 また、胆嚢癌の発生頻度が高い病態として、膵胆管合流異常があり、胆管拡張を伴わない膵胆管合流異常では
 50%以上に胆嚢癌を合併するといわれている。
 その原因は、胆汁のうっ滞と感染、膵液の逆流による炎症性変化が考えられる。


 胆嚢癌の初期は自覚症状がほとんど無い場合が多く、症状が出てくるのは進行した状態の胆嚢癌が多い。
 胆嚢癌の症状として独自なものは無く、胆嚢癌に伴う胆石や胆嚢炎の症状で、心窩部痛、右季肋部痛が多い。
 胆嚢外への浸潤や転移の状態によっては、閉塞性黄疸、腹水なども観察される場合がある。


 胆嚢癌は形態学的分類として、限局型(腫瘤形成型)、浸潤型(壁肥厚型)、混合型、の3つに分類される。


 限局型(腫瘤形成型)は胆嚢壁から胆嚢内腔に乳頭状に隆起した癌病変が一塊に観察されるもので
 早期癌である場合も多い。


 浸潤型(壁肥厚型)は胆嚢壁内に浸潤性の発育を示し壁肥厚を伴うもので、胆嚢壁から肝実質や結腸などに
 直接浸潤する場合も少なくない。


 混合型は限局型と浸潤型が混在する形態を示し、比較的明瞭な腫瘤が存在し、
 胆嚢壁やその周囲への浸潤も伴う場合が多く進行癌である場合が多い。


 胆嚢癌の形態学的分類を超音波検査で完全に鑑別することは困難な場合もあるが、
 浸潤や転移の有無などによって手術の形式や予後に大きな違いが出てくることや
 他のモダリティーに比べて超音波検査は詳細な評価が可能であることから、
 胆嚢癌を見つけた場合は、その形態を詳しく知ることが必要になる。


 胆嚢に腫瘤性病変を見つけた場合、その大きさを測定し、最大径が10mm以下であれば癌の可能性は低いが
 10~20mmの場合は要注意で、20mm以上の大きさの腫瘤性病変は胆嚢癌を疑う。


 胆嚢癌の病変部は不均一でエコーレベルが低く観察され、病変部表面が不整に観察されることが多い。
 病変部と胆嚢壁が接している面が広いことが多く、このことを広茎性と呼ぶ。
 病変が胆嚢壁に浸潤性に発育している場合は、胆嚢粘膜が不整にエコーレベルが低く観察されることがあり、
 壁肥厚を伴う場合もある。


 前述したように発見した胆嚢癌が早期癌か進行癌かである鑑別は重要で
 胆嚢と肝臓の境界が不明瞭に観察された場合は肝への直接浸潤を強く疑う。
 また、胆嚢近傍に走行する空腸や横行結腸に限局する壁肥厚が観察された場合は腸管への直接浸潤を疑う。
 その他にも異常なリンパ節の腫大がないか検索することが重要になる



    運良く発見された早期の胆嚢癌

    胆嚢の形態が比較的保たれている胆嚢癌

    肝への直接浸潤を認めた胆嚢癌