超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 胆嚢
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
       肝臓
       胆嚢
       膵臓
       腎臓
       脾臓
       その他
   下腹部領域
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域





  


  72歳 女性



  もともと、胆石があることは指摘されていた患者様です。
 腹痛を主訴に当院外来を受診し、血液検査で胆道系酵素の異常を指摘され
 急性胆嚢炎疑いにて腹部超音波検査が施行されました。





  胆嚢内には複数の結石が認められています。
 胆嚢壁は飛行していませんが、胆嚢は緊満しているように観察され急性胆嚢炎の超音波所見として一致します。


 頚部にカントンしている結石がないかどうか、仰臥位や左側臥位にして胆嚢の観察を続けると
 胆嚢底部に移動を認めない病変が存在していることに気が付きました。



 隆起性病変は広い範囲で胆嚢壁に接しており、広茎性の病変として観察されます。
 腫瘤の大きさは約22×15×13mm、腫瘤の辺縁は一部不整ですが基本的には整に見えます。
 腫瘤内部は比較的均一に観察され、ドプラでは明らかな血流は検出できませんでした。


 胆嚢癌として特徴的な所見とはいい難いですが、腫瘤径が最大で20mmを超えていることや
 広茎性に観察されることから、胆嚢癌を疑っても良いのでは?と考えました。


 複数の胆石があること、急性胆嚢炎が疑われること、充実性病変が存在すること、などから
 この患者様は数日後、胆嚢摘出術を受けました。


 充実性病変の病理結果は、粘膜層のみに浸潤を認める早期の胆嚢癌でした。



 胆石は胆嚢癌のハイリスクグループです。
 この症例の場合、胆嚢癌が急性胆嚢炎を引き起こしたとは考えにくく、胆石による急性胆嚢炎と考えられます。
 急性胆嚢炎を起こして症状が出たために精密検査を行うことになりましたが、
 もしも、急性胆嚢炎が起きなければ、胆嚢癌は無症状であることが多いため
 このまま成長し続けた可能性も十分に考えられます。


 そういう意味では、急性胆嚢炎を起こしたおかげで早期の胆嚢癌が発見できたので
 運の良いケースだと思います。