超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 胆嚢
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  36歳 男性



  腹痛を訴え外来を受診された患者様です。

外来で診察を受けた時に黄疸を指摘され、腹痛、黄疸精査の為に緊急で上腹部超音波検査が行われました。





 プローブをあてて、すぐに気が付くような著明な肝内胆管の拡張が認められます。
肝左葉、肝右葉の拡張した肝内胆管を計測すると、どちらも4〜5mm程度の拡張が認められます。
ということは、少なくても肝内胆管の拡張を引き起こす閉塞起点は、これらの画像で観察されている肝内胆管より
ファーター乳頭側、ということになります。


(画像ではドプラを使用して観察していますが、血流信号が無いので肝内胆管ですよ・・・、
    という証明の為にドプラを入れているだけで、特に深い意味があるわけではありません。)





  もう少しファーター乳頭側、ということで肝門部を観察してみました。
すると、どうやっても無エコーというよりは低エコーで観察され、
胆管内に何か実質が存在しているように見えます。





 今度は肝外胆管を長軸に観察してみました。
中部胆管でも内部に実質が存在しているように観察され、内部で層構造があるようにも見えます。
径を計測しましたが、約8mm程度で明らかな拡張とは言えません。


問題はこの内部の実質エコーが何であるか? ということです。


私は、36歳という年齢から考えても、胆石や胆嚢炎を疑っていました。
胆石に伴う debris や壁が肥厚した胆管が観察されている可能性を考えてみました。


そこで胆嚢を観察しようと探しましたが、見当たりません。
患者様に話を聞くと、胆嚢は既に摘出されていました。 これで、胆石胆嚢炎は否定できました。
胆石で手術したのが20代の後半だったそうなので、術後の影響とも考えにくいです。


私は単純に、結石や炎症に伴う変化を疑っていたのですが、
肝外胆管のBモード像が、いつも見る胆管炎などの所見と違うような気がしました。
炎症に伴って壁が均一に肥厚することは見たことがありますが、
今回の症例では、内部は非常に不整で、連続性のある低エコー病変が認められます。


明らかな「tapering」や、内部の血流信号は認められませんでしたが、胆管内に進展した新生物、
つまり胆管癌の可能性は充分にあると考えました。



結局、疾患の鑑別はできず、超音波検査のレポートには
    「膵内胆管〜総肝管の肝外胆管内に連続性を持った不整な辺縁で描出される低エコー病変を認め
      これが閉塞起点となり、閉塞性黄疸が起きていると考えられます。
     低エコー部分の鑑別としては、胆管炎、debris貯留、が考えられ、胆管癌も否定できません。」
                                                   と書きました。





 この患者様は、超音波検査が終わった後にCT検査を受けに行きました。
CTでもやはり拡張した胆管が描出され、とりあえず閉塞性黄疸を解消するためにPTCDが挿入されました。


数日後、PTCDやERCPなどの造影検査や生検などにより、胆管癌と確定診断された症例です。