超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 胆嚢
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   胆嚢内に形成された結石は色々な形状で描出され、エコーレベルも多彩である。
             その数は単発の場合もあれば数え切れないほど存在する場合もある。


   音響陰影を伴うものが多いが、音響陰影を伴わないものも少なくはない。


   体位変換に伴って位置の移動が認められる。





  胆石とは胆汁を構成する成分から形成された結石をいう。


胆汁はコレステロールとリン脂質(主にレシチン)に代表される脂質と、ビリルビンなどの有機陰イオンを含有しており、
それらを主成分として形成された胆石が胆嚢内に存在することにより、上腹部痛や右季肋部痛などの
消化器症状を呈するものを胆嚢胆石症という。


日本での成人胆石は約10~15%といわれており、現在でも増加傾向と考えられている。
胆嚢胆石は、胆石症全体の約80%を占め年齢別では
30歳代までは5~6%、40~50歳代では8~10%、60歳以上で約15%以上と
年齢が高いほど発症率も高くなっている。


通常、胆嚢胆石症は上腹部痛や右季肋部痛を伴って発見される場合が多いが、
約3~5%の頻度で症状を伴わない胆嚢胆石症も存在する。
その場合、検診などで発見される場合が多いが、これを無症状胆石 silent gallstone と呼ばれる。


胆嚢胆石症の男女比は 2:3 でやや女性に多い。


胆石はコレステロールを70%以上含有するコレステロール胆石と、ビリルビンを主成分とする色素胆石に大別される。
さらに肉眼的特徴から
コレステロール結石は、純コレステロール石、混成石、混合石に分類され
色素胆石は、ビリルビンカルシウム石、黒色石に分類される。


その他に稀な胆石として、炭酸カルシウム石、脂肪酸カルシウム石などがある。


1996年の日本胆道学会による全国集計によれば、
胆嚢胆石のうち60%がコレステロール石、ビリルビンカルシウム石と黒色石がそれぞれ約20%とされている。


胆石の分類と特徴

胆石の種類 主成分
(副成分)
肉眼所見 存在部位
外観





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純コレステロール石 コレステロール 球形、卵形
白色~黄白色
硬、光沢あり
1個 胆嚢
混成石 内層
コレステロール
球形、卵形
茶褐色~褐色
1個 胆嚢
胆管
混合石 コレステロール
(ビリルビン
 カルシウム)
球形、多角形
桑の実状
黄白~黒褐色
硬、光沢あり
1個~多数 胆嚢
胆管



ビリルビン
カルシウム石
ビリルビン
 カルシウム
(コレステロール、
 脂肪酸
  カルシウム)
球形、不定形
茶褐色~黒褐色
軟、軽、もろい
数個~数十個 胆管
黒色石 黒色色素
(無機
カルシウム酸)
砂状、金平糖状
卵形
黒色
硬、光沢あり
1個~多数 胆嚢
胆管




炭酸
カルシウム石
炭酸
 カルシウム
卵形、不定形
白色
軟~硬
1個~数個 胆嚢
脂肪酸
カルシウム石
バルミチン酸
  カルシウム
卵形
淡黄褐色
1個~数個 胆嚢
胆管
他の混成石 多彩 1個 胆嚢
胆管



胆石の臨床症状は、病期(前駆期、疝痛発作時、間欠期)によって異なる。


  前駆期
   最も多い症状は食後30分から2時間の上腹部不快感、腹部膨満感や悪心、嘔吐である。
   右季肋部の重圧感や右背部痛、肩こりを訴える場合も多い。


  疝痛発作時
   暴飲暴食(特に高脂肪食)により、右季肋部から心窩部にかけて激痛を自覚し、これを疝痛という。
   右肩や背部へ放散し、悪心、嘔吐、悪寒、発熱を伴う。
   胆嚢頚部の胆石の「かんとん」、総胆管への胆石の落下、十二指腸乳頭部付近の「かんとん」や通過
   に伴って起こる。


  間欠期
   疝痛発作が解消された後に、しばしば無症状、あるいは不定期な上腹部症状のみとなる。



 また、胆嚢胆石の場合の多覚所見として、Murphy(マーフィー)徴候が有名である。
Murphy徴候とは、胆石による疼痛時に患者の右肋骨弓下を圧迫して深呼吸させると
疼痛のために途中で呼吸が途切れ途切れになる現象をいう。






胆嚢胆石の診断に有用な画像診断には、沢山の検査が応用されているが
その中でも、腹部超音波検査の有用性は非常に高い。


超音波検査では、その存在診断だけでなく、存在部位や胆嚢機能診断や合併している疾患も観察できるので
その役割は非常に重要となっている。


超音波検査では胆嚢胆石が認められると、高エコーで描出されるものが多い。
これは、胆嚢内に充満した胆汁との音響インピーダンスが非常に大きい為で、また結石成分により
胆石内を超音波が通過することができないことにより、音響陰影が観察されることも多い。
(胆石の組成成分によっては超音波が胆石内を通過して、音響陰影が観察されないこともある)


超音波検査で胆嚢胆石が疑われた場合、それが胆石である確認を取るために体位変換を行うのが有効である。
体位変換に伴い、胆石が移動するのが観察できれば「かんとん」していない胆石であるといえる。
また、胆石がなかなか動かない場合、プローブで患部を揺する事によって胆石が移動することもある。


胆石が存在する場合、胆嚢腺筋腫症や胆嚢癌の発生率が通常の胆嚢よりも高いといわれている。
(胆石の移動に伴い、胆嚢壁を刺激する為と考えられている)


胆石の数や形状、超音波像によって胆石の鑑別ができる場合もあるが、超音波検査だけで
その組成を断定するのは難しい場合もある。


その中で一番特徴的な所見を示すのは「純コレステロール結石」である。
純コレステロール結石は、円形、卵形で、10mm前後の比較的大きい胆石が一つだけ観察され
結石の上部が高エコーで、胆石の下部に向かって徐々にエコーレベルは低下し
結石の後方では音響陰影に移行する。






    典型的なコレステロール結石

    典型的なコレステロール結石 2