超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 膵臓
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  74歳 男性


  当日、朝起床時に上腹部痛を自覚。
 胃薬を飲んで自宅で安静にしていたが、昼くらいから上腹部痛が強くなり夕方になって
 当院の外来を受診された患者様です。


 血液検査が行われてすぐに上腹部超音波検査が行われ、
 超音波検査のオーダー内容は、「急性腹症、スクリーニング目的」というものでした。




 肝臓から走査を始めて検査を進めていくうちに、胆嚢に異常が認められることに気が付きました。


 上の画像のように、胆嚢の緊満、腫大が認められています。
 よ〜く観察すると、極低エコーがうっすらと観察されているようにも見えます。
 少量の胆泥、胆砂の貯留を観察しているのかな? と考えていました。


 胆嚢壁の肥厚、胆嚢管、肝外胆管、肝内胆管の明らかな拡張は認められず、肝外胆管内にも明らかな異常は
 指摘できませんでしたが、明らかな胆嚢の緊満が観察されたので、急性胆嚢炎の可能性があるな・・・
 なんて考えていました。


 そして検査を進め、膵の観察をすると以下のような画像が得られました。




 膵実質は不均一に描出され、主膵管の拡張は認められていません。


実際に計測している画像は載せていませんが、膵頭部で約28mm、膵体部で約16mmでした。
通常、高齢者の正常膵臓は、若い方の膵臓よりも萎縮して観察される事が多いことからも
膵のびまん性の腫大があると判断しました。


胆嚢の緊満や、膵臓の腫大、膵実質の不均一化、が認められ、それでいて肝外胆管や主膵管に異常が無い。


膵臓が炎症を起こし、少なからず肝外胆管へ影響したせいで胆嚢の緊満は引き起こされたのではないか?
と考えました。






 また、モリソン窩や脾臓周囲に少量ですが、無エコーで描出される液体貯留が認められていました。


最初は、微量の腹水と考えていましたが、膵臓が腫大しているなら急性膵炎に伴う滲出液が考えやすく
そう考えれば、全ての超音波所見は納得がいきます。


以上の所見から、

 モリソン窩と脾周囲に滲出液を伴う急性膵炎で、二次的に胆嚢の緊満が起こっている、と考えられます。


と、レポートしました。






 ちなみに、この患者様はCT検査でも急性膵炎が疑われた為、そのまま入院となり
外科的治療は行わず、内科的に治療していく方針になったようでした。


そして4日後に、もう一度腹部超音波検査が行われました。




 膵の腫大は更に増強し、モリソン窩、脾周囲の滲出液はさらに多く観察されています。
また、このときの超音波画像では、膵周囲に微量な滲出液と肝左葉下面にも滲出液が観察されています。


4日前の超音波画像と比較すると、明らかに病状は進行しているように考えられました。


この患者様は、このまま内科的治療を続け徐々に症状は軽快し、現在でもfollowしていますが、
随分良くなってきています。