超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 膵臓
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   主膵管が拡張し、その辺縁は不整に観察される。


   膵石の形成、仮性膵嚢胞が認められることが多い。


   膵臓の萎縮を伴う場合が多い。





  慢性膵炎は、膵組織の炎症の持続、あるいは炎症後の変化をいい、
膵臓の炎症が6ヶ月以上持続している病態であり、多くは不可逆性である。
経過中に主膵管や膵管分枝に炭酸カルシウムを主成分とする結石を生じる例が慢性石灰化膵炎(膵石症)である。


日本における慢性膵炎の男女比はほぼ 4:1 と男性に多い。
慢性膵炎の原因として最も多いのは、アルコール性(約59%)で、
次いで、特定の原因が認められない突発性(27%)、胆石性(8%)がある。
その他の原因としては、膵管胆道合流異常、副甲状腺機能更新症、高脂血症、家族性や遺伝性があげられる。


膵内部の病理組織学的変化は基本的には膵全体に存在するが、
病変の程度は不均一で、分布や新構成もさまざまである。
膵小葉内、小葉間あるいは膵管周囲における炎症の持続、あるいは反復による不規則な
実質の脱落と繊維化を特徴とする。


病理所見としては、炎症性細胞浸潤、膵管系の不規則な拡張、小膵管の増生、集族、仮性嚢胞、
膵石、膵石灰化、実質壊死、脂肪壊死、脂肪置換、などが観察される。


アルコール性慢性膵炎の場合、飲酒を始めてから5~20年経って腹痛で発症する事が多い。
上腹部痛は約80%に認められる主要な症状であり、
激しい腹痛発作を呈し、急性膵炎と同様の病態をとる急性増悪期と
強い腹痛発作を認めない間欠期に分けられ、間欠期には持続性の心窩部痛が多く、しばしば背部へ放散する。


一方、終始無痛性に経過する無痛性慢性膵炎が約10%存在し、
この場合、糖尿病症状や膵石の存在によって初めて診断される事が多い。


腹痛以外の自覚症状として、食欲不振、悪心、嘔吐、全身倦怠感、腹部重圧感、体重減少、腹部膨満感が
40~50%の症例でみられる。


慢性膵炎の典型的な超音波像は、膵の萎縮が認められ、
膵辺縁の凹凸不整、実質エコーが不均一に観察される。
しかし、実際には臨床上慢性膵炎が疑われても、画像上ほとんど異常を指摘できない例も多い。


典型例での超音波画像では膵実質は不均一になるが、
慢性膵炎に伴い膵実質の繊維化の著しい例では、正常の膵実質と比較して線維成分が多く
エコーレベルは低くなるが、実質は均一な状態で描出されることもある。


従って、膵実質のエコーレベル、エコーパターンについては明言できないのが実情で
慢性膵炎の確定所見は不整な膵管拡張、あるいは膵石であり、
また、同時に膵に仮性嚢胞が認められることがある。




 慢性膵炎に含まれるもので腫瘤形成性膵炎がある。
腫瘤形成性膵炎は、慢性膵炎でありながら画像上腫瘤が存在するように描出される病態で
膵に局所的な腫大を伴うのが最大の特徴である。


腫瘤形成性膵炎は膵癌等の腫瘤との鑑別が必要になってくるが、
典型的な腫瘤形成性膵炎では、膵癌と比べて

 ・ 腫瘤様に観察される部分の膵実質との境界が不明瞭
 ・ 腫瘤様に観察される部分の内部エコーは低く、均一に描出される
 ・ 腫瘤内を貫く膵管が観察される事がある
 ・ 経過観察中に腫瘤様陰影の消失が認められることがある

   等の点が特徴的で、鑑別診断の手助けになる。



慢性膵炎

    超音波所見に乏しい慢性膵炎

    胆石性の慢性膵炎が疑われた症例

    多数の膵石が観察された慢性膵炎


腫瘤形成性膵炎

    胆石、胆嚢炎を併発している腫瘤形成性膵炎

    アルコール性肝硬変に伴う腫瘤形成性膵炎