超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 膵臓
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  78歳 男性


  強い上腹部痛が起こり、以前より糖尿病でかかりつけだった近医を受診。
 いくつかの検査を施行したところ、胆道系酵素の異常と総胆管拡張を指摘され、
 当院に紹介となった患者様です。



 来院してすぐに腹部超音波検査を施行する事になりました。




 当院に紹介となった詳細が依頼表に書かれていたので、まず肋間走査で総胆管の状態をみたところ
 上のような超音波画像が得られました。
 肝外胆管で約17mmと著明な拡張が認められています。


 画像は載せていませんが
 胆嚢は軽度腫大しているものの、胆嚢内には胆石、debrisといった所見は認められなかったため、
 下部胆管から膵内胆管に閉塞起点となる病変があるかも知れない・・・、と予想しました。


 そして、膵臓を観察して得られたのが下の画像です。




 左の画像で計測している部分が膵内胆管で、ここでも約13mmの拡張が認められ、
 閉塞起点となっている病変はファーター乳頭近傍であると予想しました。


 そして、膵内胆管を観察しながら、観察部位をゆっくりと胆管の下部へ移動していくと
 胆管の拡張はだんだん収束されその先に点状の高エコーで描出される部位が認められました。
 その画像が右の画像です。


 つまり、膵内胆管で閉塞起点となる高エコーで描出される病変を移している事になります。
 そして、この画像を見て一番考えやすかったのが、総胆管結石のカントンです。
 (漢字コードで正しく表示されないことがあるので、カントンはカタカナで表示しています)





主膵管は約2.1mmと明らかな拡張は認められていませんが、
その走行はスムースではなく、ところどころ辺縁の軽度の凹凸が認められています。





 膵体部には大きさ約11mmの複数の嚢胞性病変が認められました。


 単純性嚢胞や IPMT も考えましたが、これまでの検査で慢性膵炎を併発していることも疑っていたので
 慢性膵炎に伴う仮性膵嚢胞が考えやすいと思いました。



 報告書には
  「膵内胆管にカントンした総胆管結石に伴い総胆管の拡張が認められ、閉塞性黄疸が疑われます。
   また、慢性膵炎(胆石性疑い)を併発していると考えられます。」と記載しました。



 この後、閉塞性黄疸、慢性膵炎と診断され入院となったこの患者様は、
 ERCPにて結石を落とし、閉塞性黄疸が改善され退院となりました。
 慢性膵炎に対しては特に何も治療は行われていなかったようですが、
 かかりつけの近医にて経過観察を続けているそうです。