超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 膵臓
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   漿液性嚢胞腫瘍は ① microcystic type ② macrocystic variant ③ solid variant
     に分類され、それぞれ画像上観察される特徴が異なる


   ① microcystic type では薄い被膜を有した境界明瞭な腫瘤内に
          小嚢胞の集合を反映して、小さな嚢胞腔が複数(無数)観察されることが多い



   ② macrocystic variant では薄い被膜を有した境界明瞭な腫瘤内に
          肉眼的に容易に鑑別可能な嚢胞の集族として観察されることが多い


   ③ solid variant では薄い被膜を有した境界明瞭な腫瘤として観察されるが
          充実性腫瘍との鑑別が困難な場合が多い




  漿液性嚢胞腫瘍は膵の腺房中心細胞、あるいは細膵管上皮由来の腫瘍で、
 漿液性嚢胞腺腫(serous cystadenoma)とも呼ばれる。


 腫瘍内に観察される嚢胞は2cm以下の小嚢胞腔の集族で構成されているが
 その構造により大きく3つに分けられ、画像診断上で描出される特徴が異なる。


 ① microcystic type

    漿液性嚢胞腫瘍の中でも最も多いタイプで、割面では小嚢胞が集合し蜂巣状を示す。

   画像診断では、充実性腫瘍との鑑別が困難な場合もあるが
   典型像では小嚢胞の集合を反映して、小さな嚢胞腔が複数(無数)観察される。


 ② macrocystic variant

    肉眼的にも確認可能な程度の比較的大きな嚢胞腔から構成されるタイプ

   画像診断では、肉眼的に容易に鑑別可能な嚢胞の集族として観察されることが多く
   鑑別は難しくない場合が多い


 ③ solid variant

    肉眼形態上で全く嚢胞の存在を認識できず、組織学的にも極めて小さな嚢胞からなるタイプ

   画像診断では、しばしば充実性腫瘍との鑑別が困難である。





   通常、漿液性嚢胞腫瘍は、膵の主膵管との交通は無いとされており
  肉眼的には境界明瞭な類円形の腫瘤である場合が多く、菲薄な被膜を有する腫瘍である。
  タイプによって腫瘍内に観察される嚢胞の大きさには違いが認められる(数mm~2cmまでの比較的小さな嚢胞)
  のが特徴で、スポンジ様多房性嚢胞の形態を示す。


  悪性例の報告は極めて少なく、通常は良性腫瘍として扱われるが
  腫瘍自体が多結節であったり、胆管や門脈を閉塞させるものなどは悪性を疑うべき所見とされている。


  しかし、ミクロレベルで血管やリンパ管侵襲、被膜浸潤を認め診断されたものや
  ミクロでも鑑別が困難で転移して初めて悪性と診断されたものがあり、
  画像診断で良悪性の鑑別は困難であることが多い。(基本的には良性と考えて良い)




    典型的な所見が得られた漿液性嚢胞腫瘍

    膵癌との鑑別が困難な漿液性嚢胞腫瘍