超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
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  29歳 男性



  20歳の頃、潰瘍性大腸炎と診断され加療されている患者様です。


 潰瘍性大腸炎も関与していると考えられていますが、ここ数ヶ月で貧回の嘔吐と下痢を繰り返し
感染性腸炎による症状と診断され、経過観察されていました。



嘔吐、下痢などの症状がひどくなり近医を受診したところ、血液検査で腎機能障害があることがわかり
当院に紹介受診となり、腹部超音波検査が行われました。





 腹部を全体的に観察しようと、肝臓の肋間走査を行っている時に気が付きました。
それほどハッキリと観察されるわけではありませんが、肝実質よりも腎実質の方がエコーレベルが高く
観察されています。
この所見(逆肝腎コントラスト)だけでも、腎に何らかの疾患が存在していることの証明になります。



もともと依頼内容が腎機能異常精査だったので、検査する前からある程度予想はしていました。



次に左右の腎臓を比較しながら、その状態を詳しく観察しました。



 左右腎臓の大きさを測定し、腎皮質エコーレベルをチェックしました。
左右差はあまり観察されず、腎は軽度腫大し、腎皮質のエコーレベルは上昇して観察されています。



特に腎の短軸像(特に右腎)では、通常の腎臓よりも丸みを帯びた感があり
両側とも同程度の腎の腫大がある、と判断しました。



腎皮質のエコーレベルの上昇と、左右腎の同程度の腫大が超音波検査で確認でき
検査前情報で腎機能異常があることもわかっていたので
レポートには、
    「腎実質性病変(急性腎不全が最も疑われる)が存在していると考えられます。」と記載しました。



 臨床サイドでは、この超音波検査やその他の検査の結果を受けて
   感染性腸炎による頻回の嘔吐、下痢により脱水となり、腎血液量が減少し腎前性急性腎不全となった


                                                と判断されました。





 すなわち、脱水を原因とする腎前性急性腎不全です。



 ちなみに、この患者様は治療を始めて2〜3日でクレアチニンと尿素窒素の値に改善が認められ
最終的には腎機能障害は回復しました。