超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
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  58歳 男性



  会社検診で血尿を指摘され精密検査目的にて当院を紹介受診された患者様です。
 血尿精査目的にて腎臓、膀胱、前立腺の超音波検査が行われました。






 右腎下極に約60×55×58mmの腫瘤が認められました。
 腫瘤内には豊富な血流信号も認められ、腎細胞癌が疑われました。
 他の検査でも腎細胞癌が疑われ、数日後には右腎腫瘍の摘出術が行われました。


 その後の病理診断結果はやはり、右腎の腎細胞癌でした。





 その後、3ヶ月ごとの follow up を行っていましたが、
 半年後のCT検査にて下大静脈に異常(+)、採血にて腎機能低下が認められ
 腹部超音波検査が行われました。






 左腎の大きさを計測してみると、126×57×56mm   です。
 ( 腎臓の大きさについて、は 「正常腎、副腎の解剖と画像」で記載しています)
 
 右腎は腎細胞癌の手術の際に摘出されています。
 ですから、右腎の機能を代償して、その結果として左腎が腫大している可能性があります。
 しかし、その場合腎機能が低下する事はあまりありません。



 次いで、CTで異常を指摘された下大静脈を観察してみました。




 上の画像では、大動脈と下大静脈を横断像で観察しています。
 体厚のある患者様なので明瞭に描出されていませんが、下大静脈内が異常なエコーレベルで描出されています。
 また、結構圧迫を加えて撮影しても、通常潰れる下大静脈の径が変化しません。



 縦断像で下大静脈を観察しても、やはり下大静脈内に何らかの構造物が存在しているように観察されます。
 そこでドプラをあてて観察してみると、下大静脈の一部に血流信号が認められるものの
 下大静脈全体に血流がのることはありませんでした。



 この検査結果はCT検査と一致する事からも、
 右腎細胞癌の脈管内進展と考えました。
 


 左腎静脈は明瞭に観察されず、腫瘍塞栓の状況はわかりませんでしたが
 下大静脈に進展した腫瘍塞栓に伴い、左腎の血流が阻害され急性腎不全に陥ったと考えられました。



 この場合、腎性、もしくは腎後性の急性腎不全に相当すると考えられますが
 非常に特殊な例と言う事もあって、急性腎不全の分類には当てはまる項目がありません。
 (急性腎不全の原因の分類は「急性腎不全について」をご覧下さい)