超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
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   腎皮質は菲薄化し、腎の表面(辺縁)は凹凸不整に観察されることが多い。


   腎不全の程度により異なるが、腎自体の萎縮が認められることが多い。


   腎皮質のエコーレベルは上昇し、逆肝腎コントラストが観察され、
                      腎自体は徐々に不明瞭化して観察されるようになる。






  すべての原発性、続発性腎疾患が慢性腎不全の原因となり得るが、
頻度は糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎、慢性腎盂腎炎の順で多く、
近年、糖尿病性腎賞の割合が飛躍的に増加している。


慢性腎不全の原因として以下のものがあげられる。


       ①  糸球体腎炎
               慢性糸球体腎炎  急速進行性腎炎

       ②  膠原病
               全身性エリテマトーデス(SLE) 結節性動脈周囲炎 Wegener 肉芽腫症 全身性硬化症

       ③  代謝性疾患
               糖尿病 通風 アミロイドーシス 高カルシウム血症

       ④  血管性疾患
               高血圧 (本態性 悪性)

       ⑤  尿細管疾患
               間質性腎炎 尿細管性アシドーシス fanconi 症候群

       ⑥  感染症 
               慢性腎盂腎炎 腎結核 後天性免疫不全症候群 (AIDS)

       ⑦  先天性疾患
               多発性腎嚢胞 腎形成不全 Alport 症候群

       ⑧  血液疾患
               多発性骨髄腫 溶血性尿毒症症候群(HUS) 播種性血管内凝固症候群(DIC)

       ⑨  腎毒性物質
               非ステロイド性抗炎症薬(NSAID) 薬剤 貴金属(カドミウム 金)

       ⑩  泌尿器科的疾患
               結石 尿路閉塞(前立腺肥大症 尿路系腫瘍) 神経因性膀胱

       ⑪  その他
               放射線腎炎



  慢性腎不全の病期は機能するネフロン数の減少と共に推移する。


  一般に GFR ( glomeruler filtration rate : 糸球体ろ過量 ) が50%以上に維持されていれば
 無症状で体液の恒常性も保たれる。

 GFR が50~30%に低下すると、症状はみられないものの軽い高窒素血症や尿濃縮力障害などが出現する。

 GFR が30%を切ると高窒素血症、貧血、高リン血症などがみられ、夜間多尿、易疲労感などの症状が発症する。

 GFR の低下とともに腎不全徴候は進行し、5~10%以下になると末期腎不全(尿毒症)に陥る。


 一般にGFR 30~50%を切った時期を腎不全とするが、
 血清クレアチニン 2mg/㎗ 以上を腎不全とみなすことも多い。




 慢性腎不全の徴候が進むと、
 両側とも腎臓の表面は顆粒状凹凸として観察されるようになり、腎皮質は萎縮して観察される。
 それに伴い、腎皮質の菲薄化、糸球体の硝子化、糸球体の脱落、尿細管の萎縮、間質の細胞浸潤や繊維化
 などが見られるようになり、腎自体は萎縮する。


 多発性嚢胞腎では逆に腎は大きく腫大し、腎実質のほとんどが嚢胞で置換される。


 透析患者では萎縮腎に嚢胞が多発し、これを多嚢胞化萎縮腎と呼ぶ。
 この多嚢胞化萎縮腎では、腎細胞癌が高頻度に発症することが知られている。


 慢性腎不全の超音波所見は、慢性腎不全の原因となる疾患によって異なる。


 多くの慢性腎不全では
 腎皮質の菲薄化とエコーレベルの上昇、腎の不明瞭化、が認められ、逆肝腎コントラストとして描出される。
 腎自体は萎縮して観察されることが多いが、糖尿病性腎症では腎の萎縮が認められない場合も多い。


 多発性嚢胞腎では、通常の慢性腎不全と違い腎は腫大するが
 腎実質の多くが嚢胞に置換されているため、ほとんど腎実質が観察されない。


 末期腎不全になってくると
 超音波上で腎を同定するのは困難なほど腎は不明瞭化し、腎に存在する嚢胞などを手がかりに腎を描出する。


 多発性嚢胞腎や多嚢胞化萎縮腎では、通常の腎と比較すると腎細胞癌の発症率が高く
 全体の約2~3%で腎細胞癌を併発するといわれている。





   糖尿病性腎症が疑われた症例

   典型的な慢性腎不全の超音波画像

   腎に嚢胞を伴った慢性腎不全

   常染色体優性多発性嚢胞腎からの慢性腎不全