超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
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   両腎の下極が内側に向かい、腎の下極端が描出できない。


   臍周囲の横走査で、両腎の下極が癒合した峡部(isthmus)が
                            大動脈や下大静脈の腹側に観察できる。


   通常、馬蹄腎の左右の尿管は、峡部の腹側を走行する為、
                         尿流が悪く水腎症や腎結石を伴うことが多い。






  馬蹄腎は腎の形態の奇形の一種で、左右両腎の下極が連続性を持ちお互いが癒合した状態をいう。


 両腎の下極の癒合部は、腹部大動脈および下大静脈の腹側に、上腸間膜動脈、上腸間膜静脈の背側にみられ、
正面から見るとアルファベットの「U」のような外観を呈し、全体像が馬の蹄鉄に似ている事から
馬蹄腎と呼ばれる。


両側腎の下極での癒合部は、腎実質性の場合も繊維性の場合もあり、腎癒合の中では頻度が最も多く全人口の
0・25%にみられると言われており、ターナー症候群のある人では約7%で馬蹄腎があるといわれている。
つまり馬蹄腎は比較的頻繁に観察される病変であるが、馬蹄腎そのものには病的な意義はない。


超音波検査では、左右の腎臓を観察している時に腎下極が描出できないことから馬蹄腎に気付く事が多い。
馬蹄腎を疑った場合は、臍周囲を横走査すると正常例では観察されない馬蹄腎の峡部が観察され
馬蹄腎と判断する事は比較的容易である。


超音波検査上、特に鑑別を要する疾患はないが、臍周囲の縦走査で馬蹄腎を観察すると
大動脈の腹側に類円形の低エコーとして描出されるため、傍大動脈リンパ節の腫大と区別できない。
必ず違う角度からもアプローチする事が重要で、そうすれば鑑別は容易である。


通常、馬蹄腎の左右の尿管は、峡部の腹側を走行する為、尿流が悪く水腎症や腎結石を伴うことが多い。
尿管は正常に膀胱に入っており馬蹄腎だけでは無症状である。


通常ではそれだけでは病的な意義も無く、特に問題にならない馬蹄腎ではあるが
基本的に腎の形態の奇形である為、その他の奇形の発生頻度は普通の人より高く、
特に乳幼児や小児に馬蹄腎が認められた場合は、腹腔内はもとより心腔等にも奇形が認められることがあり
特に心血管系や中枢神経系の合併奇形がみられる事がある。




    典型的な馬蹄腎の所見を示した症例

    水腎症を伴った馬蹄腎