超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
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 62歳 男性


  もともと以前から馬蹄腎があることはわかっていた患者様です。
 以前受けた超音波検査でも、馬蹄腎と腎盂の軽度の拡張が指摘されていましたが、
 今回、肉眼的血尿が出たということで、腹部超音検査が行われました。




 まず右腎から観察しましたが、前情報通り典型的な馬蹄腎の所見を示しています。


続いて左腎を観察しました。




左腎も同様に馬蹄腎の所見を示し、下極が綺麗に観察されていません。
それに加えて、腎盂の拡張が認められ水腎症を伴っているので、今度は水腎症の原因を検索することにしました。





腹部正面、正中から観察してみると、大動脈がありその周囲に腎皮質が認められています。
そして、腎皮質のさらに外周に無エコーで連続する管腔構造が認められ、腎盂に連続していました。


恐らく無エコーで描出されている部分は尿管だろうと思いながらも、どのように走行しているのか
良く判らなかったので、今度は縦走査で観察してみました。





すると、無エコー領域の正中に近い部分から下方に向かって連続する無エコーの管腔構造を発見しました。
しかも、その上部は拡張して観察されていますが、ある一点を境に急激に拡張は収まり
尿管の径は一気に正常範囲まで戻っています。


左右の腎、正中部付近、と時間をかけて詳しく観察しましたが、同定できた尿管は1つだけでした。


結石や腫瘍などの異常陰影は認められず、尿管拡張の原因を特定する事はできませんでしたが
逆に特定する異常所見が無いので、馬蹄腎による尿管の走行異常が原因ではないかな?と考えました。


レポートには、
  ・ 馬蹄腎
  ・ 腎盂、腎杯、上部尿管の拡張
  ・ 下部尿管は拡張を認めず
  
     という超音波所見を記入し、最後に

  尿管は1本しか観察されず、正中付近で観察されているので尿管形成の異常(奇形)も考えられる。

 と報告しました。




数日後、CT検査が行われました。



 CTでも同様の所見が認められており、馬蹄腎から連続して拡張した腎盂が認められています。
あまり多くの画像を添付できない為、少し判りづらいかもしれませんが、
CTでは腎盂が拡張しており、尿管は拡張していないように観察されます。


ここを見て下さい  ⇒  


私が超音波で尿管の拡張だと思い込んでいた部位は、実は腎盂だったのです。
つまり尿管には拡張が認められず、腎盂のみの拡張で水腎症は伴っていましたが、
水尿管は伴っていなかったのです。


CTで確認されましたが、やはり尿管は1本しか観察されず腎盂、腎杯、尿管の形成異常だったようです。


「そういえば、前回の超音波検査では、腎盂、腎杯、尿管について、どのようにレポートしているのだろう?」
と思い、前回の超音波検査の画像とレポートをもう一度見直してみました。
前回は水腎症は極軽度で、今回観察された尿管さえ観察されていませんでした。