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  40歳 女性

 以前から1年おきに人間ドックを受診しており、前回までは胆嚢結石を指摘されているだけだった患者様です。
今回は、胆石 follow up 目的にて、腹部超音波検査が施行されました。






 一見すると正常の腎臓です。


腎下極を注目してみてください。
何か見えてきませんか?









実際に二次元の写真しか見ないと、「正常腎」といってしまいそうな画像ですが、
写真の中央付近に腎細胞癌が描出されています。
(実際にリアルタイムで検査をしている時は、もう少し気が付きやすいと思います。)






少し違う角度から観察すると、少しは腫瘤性病変として認識しやすく描出されてきます。


腫瘤は、腎皮質とほぼ等エコーで描出され、大きさは約9×9×10mmで
内部には拍動波と定常波の両方の血流信号が描出されました。
明らかな被膜は観察されませんでしたが、角度によっては比較的明瞭に腫瘤の形状を認識できます。
腎盂、腎杯、尿管に拡張所見は認めず、腎門部の腎動脈や腎静脈にも異常は認めません。


等エコー〜低エコーの類円形の腫瘤を見つけた時は、まず腎細胞癌を疑うのが常識です。
今回の腫瘤の場合は、腫瘤に比較的豊富な血流信号を認めたため、やはり腎細胞癌を疑いましたが
まれに腎血管筋脂肪腫の脂肪沈着が少ない腫瘤が存在するので断定はできませんでした。


この患者様は、後に腎腫瘤精査で他のモダリティーの検査を受け、腎細胞癌の最終診断となりました。
現在は手術も終了しており、特に腎外への浸潤や転移も認めず外来で follow しています。



今回のこの超音波所見を見てわかるように、
腎皮質と同等のエコーレベルで描出される腎細胞癌で、内部に液状変化などの特徴的な所見が無い場合、
超音波上で簡単に観察しただけでは、見逃す可能性は少なくないと思います。
ドプラを当てれば、その血流パターンから腫瘤が存在することは確認できますが、
やはり基本に立ち返り、じっくり丁寧に走査することが重要である、と考えさせられる症例でした。