超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
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  43歳 男性

 以前より脂肪肝を指摘されており、腹部超音波検査は何回か受けた事あるが
 腎には特に異常は指摘されていない患者様です。

 尿検査にて、微量の血尿が検出され精査目的にて超音波検査が施行されました。






 右腎皮質から突出するように腫瘤が観察され、腫瘤の大きさは約28×27×30mmでした。
腫瘤は類円形で、内部のエコーレベルは比較的均一な高エコーで描出されています。
ドプラをあてて観察しても明らかな血流信号は得られませんでした。


この腫瘤は、腎血管筋脂肪腫と腎細胞癌の鑑別に苦慮しましたが
明瞭には観察されませんが、腫瘤を拡大して観察すると、腎皮質と腫瘤の間により低エコーに観察される領域を認め
腫瘤周囲に線維性の被膜があるように観察されます。(写真 左下)


腫瘤の被膜があるとすると、腎血管筋脂肪腫よりも腎細胞癌を疑う所見です。
腫瘤周囲の被膜以外の超音波所見は、腎血管筋脂肪腫でも良い所見でしたが、
被膜が存在するように観察される事からレポートには、
「腎細胞癌が疑われますが、鑑別として腎血管筋脂肪腫があげられます」と報告しました。


この後、CTやMRなどの他のモダリティーで腎血管筋脂肪腫は否定され
腎細胞癌疑いで手術が行われています。


病理診断は腎細胞癌でした。


多彩なエコーレベルで描出される、と言われる腎細胞癌ですが
今回の症例では、腫瘤周囲の被膜が存在する以外、腎血管筋脂肪腫の超音波所見と当てはまります。
腫瘤がもっと小さくて被膜が観察されない場合では、鑑別はもっと困難であるだろう、と予想されます。