超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
       肝臓
       胆嚢
       膵臓
       腎臓
       脾臓
       その他
   下腹部領域
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域





  



  67歳 女性

 脳梗塞のため、右半身不随で言語障害もある患者様です。
 自宅療養していたところ尿に肉眼的血尿が認められ、当院を受診されました。



 CTにて脾臓と左腎に腫瘤が認められ、腎細胞癌疑いで超音波検査が施行されました。




 左画像では脾臓を観察していますが、画像左上に写っている脾臓の下面に接するように腫瘤が存在し
 右画像では腎臓を観察していますが、画像右上に写っている腎臓の上極に連続するように腫瘤が存在しています。



 腫瘤は不整形で内部は不均一に描出され、ところどころ無エコーで描出される領域を認め
 腫瘤内の壊死に伴う液状変化を観察していると考えられました。
 腫瘤は脾臓には接しているものの、境界は保たれているように観察され、脾臓への浸潤は否定的です。


 まず、最初に撮影したこの2枚の画像だけで、腎細胞癌が疑われると考えました。

 

腫瘤にドプラをあてて観察してみると不規則な血流信号が認められ、拍動波と定常波の血流信号の両方が
検出されました。




腫瘤は一画面で観察できないほど大きく、正確な大きさは計測できないほどでした。
肝臓左葉を観察すると、腫瘤に圧排されているように観察されましたが
腫瘤と肝臓の境界は保たれて観察され、肝臓への直接浸潤は無いと判断しました。






 次いで観察したのは腎静脈の状態です。
 左画像では左腎静脈を中心として下大静脈と大動脈が描出され、腎静脈の上に上腸間膜動脈が描出されています。
 大きさを計測しているところが左腎静脈ですが、内腔が無エコーで描出されません。
 
      ← ここをクリックすると 左画像上に血管名を表示します。もう一度クリックすると消えます。



 右画像では同じ位置でドプラを当てて観察しています。
 これを見ると、左腎静脈の下大静脈側では青色で表示される血流信号を認め
 左腎静脈に血流が残っていることが確認できます。
 腎細胞癌から左腎静脈への血管内腫瘍進展と考えられました。


 この2つの画像だけでは、腎細胞癌の血管内腫瘍進展は腎静脈までのように観察されますが
 リアルタイムで低エコー部分が下大静脈に連続するようにも観察されたので、
 下大静脈も注意深く観察しました。





 下大静脈内にも明瞭に腫瘍塞栓が観察されました。
 左腎静脈が下大静脈に流入するあたりの位置から心臓方向に向かって
 連続した低エコーの腫瘍塞栓が認められています。


 このあと、コンベックスをセクタに持ち替え、心臓も検索しましたが明らかな異常所見は得られず
 腫瘍塞栓は下大静脈まで進展していると判断しました。