超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 腎臓
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
       肝臓
       胆嚢
       膵臓
       腎臓
       脾臓
       その他
   下腹部領域
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域








 多房性腎嚢胞は頻繁観察されるわけではありませんが、観察される機会がそれほど少ないわけでもありません。
腎皮質に観察されるという点では単純性腎嚢胞と同じですが、しっかりと嚢胞内部を観察すれば
単純性腎嚢胞と多房性腎嚢胞の鑑別はそれほど難しくありません。


また、多房性嚢胞の場合はその他の嚢胞性腎疾患と違って、嚢胞内に観察される隔壁から
悪性新生物が発生する可能性があります。


超音波検査ではこの隔壁を詳しく観察できるので、
多房性腎嚢胞を発見した場合には、その隔壁がスムースで一定の厚さの隔壁が観察されていることを確認して
隔壁の病変の有無をレポートする必要があります。





 多房性腎嚢胞 その1 



 右腎皮質に嚢胞性病変が描出されています。
大きさは画像には表示されていませんが、約12×10×10mmで明瞭に観察できます。


一目でわかるように、嚢胞性病変の内部に線状の高エコーが観察されており、
嚢胞性病変の中に隔壁が存在していることがわかります。


嚢胞の辺縁の皮膜や内部に観察される隔壁に、乳頭状の隆起性病変や不整な隔壁は観察されませんでした。





 多房性腎嚢胞 その2



 右腎に単純性腎嚢胞と、その近傍に多房性腎嚢胞が観察されています。
「多房性腎嚢胞 その1」で観察されているものよりも明らかに大きく、大きさは約22×24×18mmでした。


内部にはっきりと隔壁構造が観察されています。
その隔壁のひとつひとつ丁寧に異常が無いか観察するので、単純性腎嚢胞を観察するよりも時間がかかりますが
少しでも怪しいと思う場所があったら、画像のようにドップラーをあてて見るのも一つの方法です。


この多房性腎嚢胞の場合、嚢胞の中央に隔壁で囲まれたスペースが存在し、
その内部が明瞭な無エコーでは観察されませんでした。


嚢胞内に明らかな血流信号は認められず、嚢胞内の異常所見は無しと判断しました。





 多房性腎嚢胞 その3



 右腎に多房性腎嚢胞が観察されています。


この嚢胞も、容易に発見できる無エコー病変として観察され、内部に明瞭な隔壁構造が認められていますが、
嚢胞の皮膜に少し不明瞭に観察されました。


そこで、ドップラーをあてたのが右上の画像です。
明らかな異常血流は認められませんでしたが、念のため下の画像のようにパルスドップラーをあててみると
拍動派の血流信号が検出されました。


嚢胞の皮膜付近で観察された拍動性の血流信号の為、その血流信号が嚢胞内か嚢胞外かの確認は
困難でしたがレポートには、嚢胞の隔壁、もしくは皮膜から発生した腺種の可能性がある、と書きました。


後にこの多房性嚢胞に対して生検が行われましたが、異常は認められず3ヶ月後の follow となりました。