超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 副腎
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   境界明瞭な類円形の腫瘤像として描出される。


   腫瘤内に散在して多数の石灰化を伴うことが多い。


   神経芽腫の原発発生場所は腹部が多く、その中でも副腎が最も多い。
    縦隔、後腹膜、頚部、骨盤腔、にも発生しやすいので、同時に観察するべきである。



   血管に富み、血流豊富な腫瘤像として描出される。



   腹部腫瘤の場合は硬く、増大すると腫瘤内に出血や壊死巣に伴う
                            無エコー領域が観察されることがある。






 神経芽腫は、発生学的に神経堤細胞(neural crest cell)より交感神経節細胞が分化してくる過程で
交感神経母細胞、または交感神経芽細胞が腫瘍化して生じる。


神経芽腫はカテコールアミンや各種神経ペプチドを産生する。
発生年齢は主に乳幼児で、小児悪性腫瘍の中では白血病に次いで多く悪性度が高い為
早期の診断が極めて重要な疾患とされている。


診断時年齢の統計では
出生時から1歳までで25%、2歳までが40%、10歳までに90%以上となっており
男児にやや多く発症する。


 神経芽腫は、神経堤細胞の存在する部位であればどこでも発生する可能性があるが
腫瘍の約70%は腹部に発生して腹部腫瘤の形状を示す。
その腹部腫瘤の中でも、約半数は副腎髄質原発である。


副腎原発以外には、縦隔、頚部、骨盤内、後腹膜腔、などの交感神経節にもよく見られ、
肝臓や頭蓋内からも発生する事がある。


臨床症状としては、腫瘍の発生部位や、転移、播種の程度、患者の年齢によって異なる。
腹部腫瘤の場合は、硬く無痛性の腹部腫瘤として認められ、腫瘍内出血がしばしば見られる。
このため貧血を呈することも多い。


超音波所見としては、境界明瞭な腫瘤で、腫瘤内部にびまん性に石灰化を伴い、
身体の正中線を越えるほど大きく成長することもある。
また、血管に富み、腫瘤内の血流は豊富に観察されることが多く、腫瘤内で出血や壊死を起こすこともしばしばあり
その結果、腫瘤内に無エコー領域が観察されることも少なくない。


神経芽腫はその病期によって4段階に分類されている。

  神経芽腫の病期分類

     Stage Ⅰ    腫瘍が原発臓器に限局している、転移は認められない。

     Stage Ⅱ    腫瘍が局所的に浸潤を認める、もしくは局所的にリンパ節転移を伴う、
               原発腫瘍は正中を越えないものである。

     Stage Ⅲ    原発腫瘍が正中線を越えて浸潤している、あるいは半体側のリンパ節転移を伴う。

     Stage Ⅳ-a   骨、実質臓器、遠隔リンパ節に転移が認められるもの。

     Stage Ⅳ-b   原発巣が Stage Ⅲ で遠隔転移が骨髄、皮下、肝に限られるもの

     Stage Ⅳ-s   原発巣が Stage Ⅰ または Stage Ⅱ で遠隔転移が骨髄、皮下、肝に限られるもの



神経芽腫は画像上、しばしば腎由来の Wilms腫瘍との鑑別が難しいことがある。


Wilms腫瘍の発育形態は、前方へ膨張性に大きくなり、肺に転移しやすいのに対して
神経芽腫の発育形態は、正中を越えて浸潤性に大きくなり、肝へ転移しやすい。
Wilms腫瘍では腎盂腎杯の変形がみられるが、神経芽腫では腎全体の圧排所見のみである。


また
神経芽腫は Wilms腫瘍以外でも、水腎症、後腹膜肉腫、肝腫瘍、腸間膜嚢腫、卵巣腫瘍などと
鑑別を要する場合があるが、
神経芽腫に特徴的なカテコールアミン過剰が証明できれば診断は容易になる。



     典型的な超音波像として描出された神経芽腫

     偶然発見された鑑別の難しい神経芽腫