超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> 副腎
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 1歳 女性


「おむつに血便が付いていた」ということで、始めは腸重積や回転異常を疑って腹部超音波検査を行うことになった
患者様です。

最初に腸管の観察を行ったようですが、明らかな腸の異常所見は認められなかったようです。
( この症例は、私が撮影したものではありません )


検査の最後に上腹部を簡単にスクリーニングして検査を終わろうとしたところ
下のような異常所見を見つけたようです。





 肝右葉下面と右腎に挟まれるように、約32×22×30mmの腫瘤様陰影が認められています。
場所はほとんど右副腎の位置で、腫瘤は類円形で境界は一部不明瞭、石灰化は認められていません。


右腎を圧排するように成長しているように観察されるのですが、一部では浸潤しているように観察される部位が
あるらしく、右腎臓由来の腫瘍ではないか? と考えたそうです。






ドップラーでは右腎に走行する正常な血流信号が検出されていますが、腫瘤内には有意な血流は認められておらず、
右腎由来の腫瘍と考えると、肝に浸潤は認められていないが Wilms腫瘍ではないか?と考えたそうです。


 ・ 肝下面から右腎に挟まれて存在し、それほど大きくない印象である

 ・ 腫瘤は類円形で内部は不均一に観察され、石灰化は認められなかったこと

 ・ 右腎と腫瘤との境界線が一部不明瞭に観察され、腎由来の腫瘍も否定できないこと

 ・ 腫瘤内部に有意な血流信号が堅守されなかったこと


  などの理由から、Wilms腫瘍を疑ったそうです。





 後に行われたCT画像とMR画像です。

造影なし 造影あり



T2強調画像 T1強調画像
T1強調画像 脂肪抑制 造影後 T1強調画像 脂肪抑制


CT、MR の画像をみていくと、腎臓と腫瘤とに連続性の無いことがわかりました。
つまり、腎由来の腫瘍は可能性が薄いということになります。


一気に副腎由来の腫瘍の可能性が高まり、結局鑑別診断のつかないまま手術になったそうです。
術後病理の結果は「神経芽腫」でした。


偶然見つかったまだ小さな神経芽腫だったのでしょうが、それにしても腫瘍の特徴があまりにも非典型的で
「神経芽腫」と鑑別するのは難しいだろう、と思いました。