超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> その他
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
       肝臓
       胆嚢
       膵臓
       腎臓
       脾臓
       その他
   下腹部領域
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域





  


 27歳 女性


全身倦怠感で近医を受診、血液検査と臨床症状から急性肝炎が疑われ当院紹介となった患者様です。
腹部の超音波検査を行う前に話を聞くと、症状が出だしたのは4~5日前ということでした。





 それほど体型の大きな方ではありませんでした。
しかし、肝右葉の縦幅を計測すると約15cmと非常に大きく、肝腫大を鑑別するのは容易でした。



肝腫大は認められるものの、肝内にそれ以外の異常所見は認められませんでした。


肝臓を走査している時点から気が付いていましたが、胆嚢壁は著明な肥厚を認め
胆嚢自体は萎縮して観察されています。





年齢が若いこともありますが、脾臓は非常に大きく脾下面にも凸面が認められ、
正常の脾臓ではなく、脾腫が存在していると予想する事ができました。
(約120×45mm程ありました。)




 肝門部を走査すると、5個以上のリンパ節の腫大を認めました。


ここまでの、超音波所見で典型的な急性肝炎と考えられました。
年齢が27歳、伝染性単核球症を含め、A型肝炎やB型肝炎に伴う急性肝炎も考えられます。
この時点では、他の検査の結果も出ていない為、鑑別は困難だと考えました。






















最後に頚部のリンパ節をチェックしてみると、複数の著明なリンパ節の腫大が認められました。

もちろん、ウイルス性肝炎などの否定はできませんが、頚部のリンパ節の腫大を認めることによって
一番に疑われるのは伝染性単核球症である、と考えることができました。


最終的には

  ・ 年齢が若いこと

  ・ 著明な肝腫大が認められること

  ・ 脾腫を伴う事

  ・ 胆嚢壁の肥厚と胆嚢の萎縮を伴うこと

  ・ 肝門部リンパ節の著明な腫大が認められたこと

 の理由から、急性肝炎の超音波所見と考える事ができ、頚部リンパ節の腫大が著明である事から
急性肝炎の所見を示す疾患のなかでも、伝染性単核球症が疑われる、と報告しました。



 ここまで、典型的な超音波所見が示されるケースもそれほど多くは無いと思いますが、
逆に考えると、ここまで所見が揃えば伝染性単核球症を疑うのは、それほど難しくないと思います。