超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> その他
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   伝染性単核球症の約50%で脾腫を伴い、約20%で肝腫大を伴う。


   腹部検査で肝門部リンパ節以外にも、全身に反応性のリンパ節腫大が認められることがある。
    (伝染性単核球症が疑われた場合には、頚部のリンパ節も確認する)


   超音波上の検査所見としては、急性肝炎の所見と類似し、鑑別は困難である為、
    臨床症状や臨床検査所見と総合して、他の疾患との鑑別が行われる。




 Epstein Barr ウイルス (EBV) の感染により引き起こされる病態である。
発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎を主症状とし、臨床検査では絶対的、相対的リンパ球増加、異型リンパ球の出現が
その特徴とされ、肝炎が高頻度(約90%)にみられる。


伝染性単核球症は別名「キス病」とも呼ばれ、ほとんどが唾液感染による。
EBVは唾液を介して体内に侵入し、EBVレセプターを持つBリンパ球に感染するが、Bリンパ球以外に特に影響を持たず
肝障害、肝炎の発生機序は不明で、何らかの免疫学的機序が関与していると考えられている。


肝臓では、肝小葉、門脈域への異型リンパ球の著明な浸潤が認められ、
肝小葉の壊死巣、また脂肪変性がみられることもある。


伝染性単核球症は10~30歳で多くみられ、特に0~20歳代で好発する。
本邦では3歳~5歳までに80%以上がEBVに感染し免疫が成立しているため、
成人以後の発症は少ないと考えられている。


EBVの潜伏期は6~60日程度で、前駆症状として全身違和感、食欲不振、悪寒、などが数日続く。
伝染性単核球症の発症直後では、発熱と咽頭痛を主訴とする場合が多く、
次いでほぼ前例に頚部リンパ節腫脹が認められ、リンパ節腫脹は腋窩、鼠径リンパ節に及ぶ事もある。


これらの症状の中でも、発熱、リンパ節腫脹、末梢血中異型リンパ球増加が
伝染性単核球症の3大主徴と呼ばれる。


伝染性単核球症の約50%で脾腫が認められ、約20%に肝腫大、約10%に黄疸が認められる。
伝染性単核球症における黄疸は有熱時にみられるのに対し、ウィルス性肝炎では黄疸出現と共に解熱するのが
対照的である。


伝染性単核球症の予後は良好で、後遺症もなく治癒する。肝炎も慢性化することはない。


超音波検査の所見としては、脾腫、肝腫大が認められることが多く、
同時に肝門部リンパ節等のリンパ節の観察を充分に行う必要がある。


急性肝障害で、脾腫、肝腫大、肝門部リンパ節の腫大が認められても、超音波上、急性肝炎との鑑別は困難で
頚部リンパ節の腫大を確認する。
通常、ウイルス性の急性肝炎であれば頚部リンパ節の腫大は観察されない。


超音波上の検査所見だけで、伝染性単核球症を鑑別することは困難なので、
臨床症状や臨床検査の検査所見と総合して鑑別を行うのが一般的である。




    伝染性単核球症の典型的な超音波所見が得られた症例

    容易に急性肝炎が疑われた症例