超音波検査室 >> 実際の症例 >> 上腹部領域 >> その他
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
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   左腎静脈の腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれた部位で
                             腎静脈の部分的な狭窄が認められる。


   腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれる前の腎静脈(左腎側の腎静脈)で
                                     腎静脈の拡張が認められる。


   左腎静脈をドップラーで観察すると、狭窄部位から下大静脈へ向けて
                           モザイク状のジェット流が観察できる。


   左腎静脈の狭窄に伴い、他の静脈への副側血行路が認められる場合がある。





 ナットクラッカー現象=nutcracker syndrome は正式には Left renal vein entrapment syndrome と呼ばれ
正常解剖として、左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈の間を走行する部分で挟まれるが
この2つの動脈に挟まれる部位で、動脈圧が高く、静脈圧が低い為に
腎静脈が押し潰され、静脈内圧があがることにより、左腎の毛細血管の毛細血管が破綻し血尿を生じる現象
のことをいう。


ナットクラッカー現象は、腹部大動脈と上腸間膜動脈、左腎静脈の位置関係が「くるみ割り」の道具である
ナットクラッカーに似ていることから、このように呼ばれている。


小児~思春期前後に発症することが多く、その後の年齢層では徐々に減少している。
これは、副側血行路の形成に大きく関与していると考えられ、年齢が高い場合の方が
副側血行路が認められることがある、と考えるべきである。


ナットクラッカー現象がある場合、無症状で血尿が認められる場合が多く、間欠的な血尿が認められる。
ネットクラッカー現象が進行している例では、肉眼的血尿が認められるが、
検診などによって尿潜血を認めることによって発見される例が多い。
血尿の他にも精索静脈瘤や起立性蛋白尿の原因とされている。


超音波検査ではBモード上、正中横断走査で腹部大動脈と上腸間膜動脈が短軸で観察され
同時に左腎静脈が長軸で観察できるような画像を描出することから始める。


正中横断走査で腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれている位置での左腎静脈径と、
その手前(左腎側)の腎静脈径を計測する。


腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれている位置での左腎静脈径が4mm以下で狭窄とする。
2つの動脈に挟まれている位置より手前側(左腎側)での静脈径が9mm以上で拡張とする。
いずれかの所見が認められれば、ナットクラッカー現象の可能性が指摘できるが、断定はできない場合が多い。
ただし、著しい左腎静脈の拡張とこれに連続する腰静脈叢への副側血行路が描出できれば確診できる。


また、この得られたBモードの画像にドップラーをのせて観察すると、
狭窄がある部分(腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれる部分)から下大静脈に向かって
モザイク状のドップラー信号が認められる。


このモザイク状の部分にパルスドップラーでサンプリングポイントをおき、最高血流速度 Vmax(m/s)を
計測する事により簡易ベルヌーイ式を用いて、下大静脈と左腎静脈の圧較差を算出することができる。


簡易ベルヌーイの式は
                   圧較差 P (mmHG) = 4Vmax² (m/s)
                                        である。


このとき、左腎静脈の最高血流速度 Vmax =0.8m/sec 以上
      圧較差             P = 3mmHG 以上
でナットクラッカー現象を疑う。




    圧較差 P = 4.6mmHG とナットクラッカーが疑われた症例

    圧較差2,8mmHGだがナットクラッカーが疑われた症例