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 22歳 男性

 会社検診で顕微鏡的血尿を指摘され、精密検査目的で当院を受信された患者様です。
検査時にいくつか質問をしたところ、自分で血尿には気が付かなかったということでした。


検査のオーダーが「上腹部スクリーニング」だったので、肝、胆、膵、腎、脾、と観察しましたが
特記すべき異常所見は認めませんでした。


顕微鏡的血尿という事なので、最後にナットクラッカー現象を調べると
以下のような画像が得られました。
























大動脈と上腸間膜動脈で挟まれる位置を境に、明らかな静脈の太さの違いが観察できます。


腎静脈の左腎側では約14mm、腎静脈の下大静脈側では約5mmでした。


そして、Bモードでこのような画像を描出したまま、カラードップラーをのせると下のような画像が得られました。





大動脈と上腸間膜動脈は非常に血流が早い為にモザイク状のカラーで表示されています。


大動脈と上腸間膜動脈は赤で描出されています。
左腎静脈の左腎側では、血流が遅いのでしょう。太くなっている部分でカラーがのっていません。
にも関わらず、腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれた部分以降はモザイク状に描出されています。


このカラードップラーの画像から、大動脈と上腸間膜に挟まれた位置を境に
左腎静脈の血流速度が速くなっていることが予想できます。



そこで、この部位にパルスドップラーをあててみました。





「症例1」同様、左腎静脈のパルス波形は、やや拍動性に観察されています。
これは、大動脈と上腸間膜動脈の拍動の影響を受けていると予想できます。


小さくて見づらいと思いますが、

左腎静脈の最高血流速度 Vmax = 83.4 cm/s  が得られました。



 簡易ベルヌーイの式は  圧較差 P (mmHG) = 4Vmax² (m/s) で表されますので


今回得られた Vmax = 83.4 cm/s の単位をあわせると、Vmax = 0.834 m/s となり、

 圧較差 P (mmHG) = 4×(0.834)² = 2.78 mmHG となります。




 圧較差 P = 2.78 mmHG と、やや高い圧較差ではありますが、一応正常範囲内です。


しかし、

 左腎静脈が大動脈と上腸間膜動脈に挟まれる位置からジェット流で観察されたこと

 大動脈と上腸間膜動脈に挟まれる部位を境にして、著明な左腎静脈の太さの違いが認められたこと

などの所見から、ナットクラッカー現象が疑われました。