超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
 まず、はじめに
 超音波検査の基礎
 検査の進め方
 正常例の画像
 実際の症例
   上腹部領域
   下腹部領域
       腸管
       膀胱
       前立腺精嚢腺
       子宮卵巣
       その他
   乳腺領域
   頚部領域
   四肢領域





  

 7歳 女性


 小学校に通う女の子です。
 学校でお昼ご飯を食べた後から腹痛を自覚したが、我慢していたそうです。
 夕方帰宅後も持続する腹痛のために、当院の夜間外来を受診された患者様です。


 痛みは右下腹部に限局し、白血球数の増加、CRPの軽度上昇を伴い、急性虫垂炎が疑われ
 腹部超音波検査が施行されました。





 上腹部領域には明らかな異常は指摘できず、子宮や卵巣にも異常所見はありませんでした。



 回盲部周囲を観察すると、明瞭に回腸末端や盲腸、虫垂が描出できました。
 盲腸から連続する虫垂基部は総腸骨動脈の方向へ向かい、総腸骨動脈を乗り越え
 先端は一部骨盤腔内にかかっています。


 腸骨動脈上で虫垂径を計測すると約5mm、正常範囲内です。
 盲腸や虫垂周囲の液体貯留、虫垂内の結石は認めませんでしたが
 腸間膜リンパ節の腫大を認め最大で15mmほどです。


 一見、急性虫垂炎は否定的に思えましたが、虫垂の先端が明瞭に観察できていないので
 ていねいに観察を続けていくと、次のような画像が得られました。






 虫垂先端が明瞭に観察できました。
 虫垂先端はやや腫大しているように観察され、径は約7mmでした。
 虫垂の層構造は明瞭だし、先端部の径が7mmという他は急性虫垂炎を疑う所見がなかったので
 急性虫垂炎ではないのでは?と判断しました。


 腸間膜リンパ節の腫大、虫垂先端の軽度の腫大が認められたため
 レポートには鑑別すべき疾患として急性虫垂炎と腸間膜リンパ節炎をあげておきました。




 この後、この患者様は1日入院して経過観察をすることになりましたが
 翌日の朝まで持続する腹痛と、さらなる白血球数増加、CRPの上昇が認められ、緊急手術が行われました。


 術後の病理所見は、虫垂先端部に炎症が限局した急性(カタル性)虫垂炎、となっていました。