超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 14歳 男性


 中学校に通う男性です。
 数日前から腹痛を自覚していたが、我慢していたそうで
 腹痛が徐々に増強し、腹痛を自覚してから3日後に腹痛に耐えられなくなり外来を受診された患者様です。



来院時の血液検査で、炎症反応高値、白血球数増加が認められ
急性虫垂炎を疑って、腹部超音波検査が施行されました。


上腹部領域を先に観察しましたが、異常は認めませんでした。



回盲部周囲を観察しようと、上行結腸、盲腸を同定すると
盲腸下端に少量の腹水の貯留を認めました。
(左の画像は盲腸、上行結腸の縦断面です)






この後、回腸末端を同定しましたが、回腸は正常に観察され蠕動も良好に観察されました。



  次に虫垂を同定しました。
 回腸末端よりも足側を観察すると、盲腸から連続する管腔構造を認め虫垂と思われました。
 しかも、虫垂は根部から既に腫大を示しており、急性虫垂炎が存在していることは間違いなさそうです。


 しかし、この後検査を続けましたが、恐らく回腸と思われる腸管ガスの影響により
 虫垂先端部は明瞭に観察できませんでした。


 虫垂根部で既に肥厚が認められているので、
 もしかしたら先端部ではもっと炎症のひどい状態になっているかも知れません。
 そこで、左側臥位にして検査を続けました。





 すると、虫垂先端部が明瞭に観察されるようになりました。
 虫垂の径や先端部の最大径で約9mm、虫垂壁の穿孔を疑う所見は認めませんでした。


 虫垂は根部から先端部までほぼ同一の径で観察され、
 粘膜面、粘膜下層、固有筋層、漿膜下脂肪層も明瞭に観察されています。
 虫垂周囲の脂肪組織は部分的にエコーレベルの上昇を認め、炎症の波及を疑う所見でした。


 これらの所見から、急性蜂窩織炎性虫垂炎を疑いました。


 緊急手術後の病理の結果では、虫垂壁の一部に壊疽性の変化が認められていたそうで
 急性壊疽性虫垂炎の診断でした。



 虫垂を観察する時、
 仰臥位では消化管ガスの影響等により描出不良の場合、左側臥位で観察するのも一つの方法です。
 左側臥位にすることで、必ず虫垂が見えるようになるわけではありませんが
 今回の症例のように、仰臥位で観察されなかった虫垂が左側臥位で観察できるようになる場合もあります。