超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 14歳 女性


 中学校に通う女の子です。
 3~4日前から腹痛が持続していたが、生理の期間中だったため生理痛と思い放置していたそうです。
 生理が終わったのに痛みが持続していたため、当院の婦人科を受診された患者様です。


 下腹部痛精査目的で超音波検査が行われました。




 婦人科の患者様で、依頼目的が「下腹部痛精査」だったので、まず子宮卵巣から検査しましたが
 明らかな異常所見は認めませんでした。


 次に回盲部周囲を観察しましたが、プローブをあてるとすぐに気が付くような腫大した虫垂が描出できました。
 虫垂径は最大で11mm~12mm程度で、虫垂内部に膿瘍が貯留し、虫垂壁の菲薄化が認められています。
 虫垂周囲の脂肪組織へも炎症が進展しており、急性虫垂炎で間違いなさそうです。


 しかし、どうしても虫垂先端部が明瞭に観察できません。(画像左下)
 描出されている部分が虫垂先端で間違いなさそうですが、先端部の層構造がはっきり描出できず
 穿孔しているかどうか判断ができません。


 虫垂先端部は、骨盤腔内の比較的深い位置に存在しており、膿瘍の存在も確認できません。




 そこで、プローブをコンベックスに持ち替え、再び虫垂を観察してみました。
 虫垂先端部は層構造が保たれているようで、周囲に明らかな腹水や膿瘍の貯留を疑う所見は認めません。
 急性壊疽性虫垂炎を疑う所見と考えました。


 緊急手術による病理の結果も同様で、急性壊疽性虫垂炎でした。




 一般的に女性の場合、
 下腹部痛(急性腹症)が存在しても、急性虫垂炎以外にも子宮や卵巣など女性器の疾患も十分考えられます。
 今回のように婦人科からの依頼でなくても、女性の回盲部検査の場合、虫垂の観察と同時に女性器の観察も
 必ずするようにした方が良いと思います。


 今回のように10代前半の女性の場合は、生理が始まる年齢帯でもあり
 「処女膜閉鎖症」等の疾患による急性腹症が起こる可能性もあるので、特に注意が必要です。