超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 24歳 女性


 数日前から腹痛を感じていたが、仕事が忙しく放置していた患者様です。
 腹痛を自覚するようになってから3~4日後、腹痛は増強し、
 歩くだけでもお腹にひびくような痛みを感じるようになり、当院を受診された患者様です。


 痛みは右下腹部に限局し、白血球数の増加、CRPの軽度上昇を伴い、急性虫垂炎が疑われ
 腹部超音波検査が施行されました。





 虫垂は明らかに腫大しており、虫垂周囲の脂肪組織は明瞭にエコーレベルの上昇を伴っています。
 はっきりとした炎症がある証拠で、腸間膜リンパ節の腫大も複数認められ
 急性虫垂炎が存在することは、比較的容易に判断できました。


 虫垂の最大径は約12mmで観察されています。
 虫垂や虫垂周囲の炎症所見が明瞭に観察されていることからも
 壊疽性虫垂炎以上に進行していると判断できます。


 とすると、壊疽性虫垂炎か穿孔性虫垂炎かの判断が重要になってきます。


 虫垂周囲に注目してみると、虫垂漿膜の外側に不整な低エコー領域が観察されていて
 その低エコー領域の周囲が特に脂肪組織の炎症の波及がひどく、
 画像全体としては非常に不均一に描出されていて、虫垂漿膜の連続性を確認するのは困難でした。


 この低エコーで描出されている領域は膿瘍、もしくは腸液を観察しているものと判断し
 虫垂は穿孔していると予想しました。








   詳しい解剖を表示します。
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虫垂の下には白い領域と黒い領域が混在しています。
白い領域は炎症が波及した脂肪組織
黒い領域は液体貯留を見ていると考えられます。










 虫垂周囲には明らかな炎症所見が観察されていて、ダグラス窩にも少量の腹水が観察されました。



 これらの所見から、急性虫垂炎(穿孔性虫垂炎)と判断しました。
 この後、この患者様は緊急手術を受け、穿孔性虫垂炎であることが確認されました。