超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 10歳 女性


 小学校に通う女の子です。
 腹痛を訴えるようになってから1日間
 自宅で経過を見ていたが改善しないために当院の外来を受診された患者様です。


 腹部の痛みは強いものの痛みは腹部全体に認められたため、急性腹症の原因検索というかたちで
 腹部超音波検査が施行されました。





急性腹症精査目的だったため、はじめに上腹部領域を検索しましたが異常所見は認めませんでした。
ついで回盲部を中心として下腹部を検索すると、回盲部周囲に炎症所見が認められ
プローブをリニアに持ち替え検査を続けました。


リニアで観察すると、虫垂と思われる腸管が観察されその周囲の脂肪組織に炎症の波及を伴っていて
腸間膜リンパ節が複数腫大して観察されました。
この時点で、急性虫垂炎を疑うのに十分な情報だと思います。




さらに虫垂先端部を探して検査を進めていくと、虫垂の下部に液体貯留をみつけました。
しばらくプローブを動かさずに観察しましたが、蠕動運動は認めず腸管内ではないことが確認でき
腸管外に貯留した液体である事がわかりました。
腹水の可能性もありますが、炎症を伴った虫垂近傍に観察されていることや
周囲の脂肪組織が明瞭に炎症を伴っていることから、液体貯留は膿瘍ではないか、と考えました。


さらに虫垂先端部を探すと、虫垂の内腔に結石を疑わせる所見も認められました。
結石が認められた場所は虫垂内腔で、総腸骨動静脈を超えた部分で
虫垂のそれより末梢側は骨盤腔内に落ち込むように走行し、結局虫垂先端は同定できませんでした。




ダグラス窩にも液体貯留を認めました。


虫垂は最大径で約10mmで観察されること
虫垂は明らかに炎症し、周囲の脂肪組織に炎症が波及しているにも関わらず虫垂がそれほど腫大していないこと
虫垂近傍、ダグラス窩に液体貯留が観察されること
等の所見から急性虫垂炎(穿孔性虫垂炎、腹腔内膿瘍形成を伴う)疑い、として検査を終了しました。


術後の結果は超音波検査とほぼ同様だったようで、穿孔性虫垂炎だった症例です。
術中所見では虫垂の先端部は破綻し、骨盤腔内に落ち込むように存在していたそうです。