超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 8歳 女性


 小学校に通う女の子です。
 朝起きて心窩部痛と吐気を感じていたが、そのまま学校に行き、家に帰ったら腹痛が増強していたため
 夕方6時ごろ、夜間外来を受診された患者様です。




 急性虫垂炎疑いで検査を進め、回盲部を観察すると全体的に非常に不均一な脂肪組織が観察され
 回腸を含めた腸管の壁肥厚を伴い、何らかの炎症所見があると考えました。


 回盲部を同定し虫垂を描出すると、根部の虫垂で約4mmと明らかな腫大は認めませんでした。
 そのまま、先端部を検索していくと途中で結石と思われる音響陰影を伴う高エコー病変を認め
 その位置での虫垂径を計測すると約8mmと腫大しており、急性虫垂炎を疑いました。


 上の画像の全てに描出されていますが、
 虫垂を検索しているときに、虫垂近傍(画像の右側)に無エコーで描出される領域が気になりました。
 その部分を中心に観察すると下のような画像が得られました。




 虫垂先端は骨盤腔へ落ち込むように走行しており、ちょうど結石の音響陰影と重なってしまうため
 明瞭に観察することはできませんでした。


 回盲部周囲の腸管の壁肥厚が観察されたり、周囲脂肪組織の明瞭なエコーレベルの上昇や
 腸間膜リンパ節腫大を伴っているわりには、虫垂径は8mm程度と腫大は軽度のものでした。
 虫垂近傍の液体貯留は蠕動を認めず、腸管外の液体貯留であったため
 虫垂が穿孔し膿瘍形成を伴っており、穿孔したために虫垂の腫大が軽度であると予想しました。


 報告書には急性虫垂炎疑い(穿孔性虫垂炎疑い)として提出しました。
 術後の結果は穿孔性虫垂炎でした。



 穿孔性虫垂炎の場合、炎症が強く波及しているため虫垂の同定が困難な場合が多くあります。
 それでも慎重に探せば虫垂の描出は可能ですが、虫垂全景を観察できない場合もあります。
 虫垂自体ばかりを観察するのではなく、周囲の炎症の状況や膿瘍や結石の存在、
 虫垂以外の急性腹症の除外等から鑑別を進めるべきだと思います。