超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 35歳 女性


 前日から間欠的に腹痛を自覚していたが、翌日(検査当日)になっても腹痛は改善せず
 腹痛は徐々に強くなり、間欠的な痛みから持続的な痛みに変わってきたために、
 当院の外来を受診された患者さまです。


 すでに、白血球数の増加、CRPの軽度上昇があることがわかっていました。
 検査前に痛みを感じる部位を聞くと、患者様は右下腹部を指差しました。
 そこで、その指差した位置にプローブをあててみると、以下のような画像が得られました。




 写真は総腸骨動脈上を乗り越える虫垂です。
(盲腸や上行結腸も明瞭に観察できましたが
        特に異常はありませんでした)



 虫垂は明瞭に観察され
層構造が確認できます。
粘膜、粘膜下層の厚さは一定に保たれ
粘膜面も平滑に観察されています。


明らかな虫垂内の結石や液体貯留
周囲の炎症所見や腹水といった
異常所見は認めませんでした。


しかし、虫垂を観察しているときに
プローブで圧迫を加えると
確実に痛がります。


圧痛点に一致した部位には必ず
虫垂が描出されます。


総腸骨動脈よりも基部側の径を計測すると
約5.7mm。
急性虫垂炎と正常虫垂とのボーダーラインです。


そこで先端部付近を計測すると
虫垂径は約8mmでした。



虫垂径が先端部分だけ
8mm程度と腫大して観察されるだけの
異常所見でしたが
検査中の圧痛に一致した部位に虫垂があったので
急性カタル性虫垂炎を疑いました。








この後、この患者様は翌日に急性虫垂炎疑いで手術を受けました。
病理結果は、急性カタル性虫垂炎の診断がついていましたが、その領域は虫垂先端部から約40mmだったそうです。


つまり、超音波上で計測した5.7mmの部位も虫垂炎になっていたのではないか?と予想されます。
(しかし、手術はこの検査の18時間ほど後に行われているので、炎症が進んだ可能性がありますが・・)